歴訪散歩 長谷川町子美術館 | パパンズdeアトリエ

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アトリエ絵画スケッチデッサンなどの個展
芸術、宗教、思想、科学、宇宙、夢のことなどを筆が勝手に紡ぎ出すがごとく綴ります。

地下鉄半蔵門線 桜新町の駅近くにその記念館がある。
 

田園都市線は、渋谷駅までだったが、今では、スカイツリーがある押上まで延伸されたようだ。
自分が住んでいた頃とは沿線の様相が全く異なり、駅前は綺麗に整備され洒落たビル群となっている。
いつの間にか、近代的なビル瀟洒な建築などで美しく生まれ変わっている。
長谷川町子記念館は、氏が私財を投じて趣味で集めた書画美術品コレクションなどを展示する為、1985年、姉妹社の書庫流通センター跡地に開館した。
桜新町は、さざえさん通りのあちこちにサザエさん一家の銅像が配置されている。
長谷川町子美術館は、そんな閑静で瀟洒な住宅街にある。

長谷川町子美術館(収集した美術品展示場)、この通り向いに記念館(執筆した原稿などの展示場)がある。

 

長谷川 町子(1920年(大正9年)~ 1992年(平成4年)は、日本の漫画家。日本初の女性プロ漫画家。

代表作に『サザエさん』『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』などがある)

自分の実家は朝日新聞だったので、「さざえさん」の4コマ漫画を読むのが毎日楽しみだった。
多分、新聞で真面目に読んだのは、この「さざえさん」漫画とラテ欄くらいだろうか。

彼女は、山脇高女在学中に田河水泡に師事することになり、その紹介で、漫画家デビューすることになる。
自宅の近所である百道海岸付近を妹と散歩をして海辺の風景を眺めているときに登場人物に海にちなんだ名前をつけて『サザエさん』の家族構成や名前を思いついたという。
 

      磯野家のサザエさん一家  

 

磯野サザエが本名だと思っていたら、フグ田家のますおさんと結婚したので、フグ田サザエが正式名称だった。
弟のカツオ君11歳、小学5年生の心理描写が恥ずかしいくらい当たっていて、当時、自分も小学5年生だったので、何かを見透かされているような神妙な気分だった。
異性に目覚め、世間体、他人の目線を気にするようになった年頃で、自意識が高まり、何かが恥ずかしいような甘酸っぱいような妙な時期だが、中身は子供であり遊び盛りで空想力があり悪戯ざかりなのだ。

産毛の天使から髭の生えた天使に生まれ変わろうとしている時期なのだ。
 

或る日、「髪が伸びているから散髪に行ってこい」といわれ、小遣いを持って近所の理髪店に行くのだが、入口まで来ると、どうにも気恥ずかしいのだ。
中に入ると、店主のおばさんが待ってましたとばかり、全身で歓迎の挨拶をされることも嫌なのだ。
かと言って子供扱いされるのも嫌なので、自分は、店の中を背伸びで覗き込み、一端、通り過ぎて、暫く歩いて過ぎ去り、それから引き返し、再び覗き込み、といったことを幾度か繰り返す。
そうして気持ちが固まったら、ドアを開けて入るのだが、なぜか店主のおばさんが、笑いをこらえきれないといった風に自分を見て静かにのけぞるのだ。

店の前まで来たので早々準備していたら、通り過ぎて行っては、また戻ってくることを何度も繰り返すのが可笑しくてしょうがないのだろう。
元より散髪が大嫌いだった。じっと静止していることができず、動こうとすると頭をぐっと押さえつけられるからだ。

そして、髭剃りで顎を剃られるようになると、自分は、一端の大人になったような気がして、益々緊張しなければならなくなったのだ。
だから、なかなか入口の敷居が跨げなくなったのだ。

そんなことがあって暫くして、それと全く同じ内容の漫画が朝日新聞のサザエさんの四コマ漫画にあった。
「あらあ、これって俺のことが描いてある…」と何もかもお見通しの長谷川町子という神がかった人に恐れを抱いたのである。
家にあった三面鏡を覗き見ると、まるでカツオ君がそこにいるような妙な錯覚に陥った。

コメディーはサイレントこそ世界共通語なのだ。(チャップリン)

英国のMr.ビーン役のコメディアンのローワン・アトキンソンが、あるインタビュー番組で語っていた。
サイレント映画のチャップリンと同様、彼のドラマにも殆どセリフが無い。
「小学校五年生くらいが一番面白いのです。だから私はいつもその年頃の男の子を演じています。」と語ったことを記憶している。
「サイレントだから、自分の映画は世界に通用するんだ。」と断言したチャプリンと同じ理由なのだろう。

 

コーヒーブレイク

 

桜新町の駅近く、「炭火焼き権八」という小洒落た料理屋に仲間らと一緒に入った。


炭火焼き権八

 

夜は、ムードある昭和レトロな酒場に変身するのだろう。

天井の裸電球、鎧戸のような収納、格子の間仕切りなどもいい雰囲気を醸し出している。

こんなところで、美酒に酔い痴れ乍ら、よもやま噺をするのも一興だと思うが、なかなか世の中、そうそううまくはならない。

彼女がいるときは金が無い。金があるときは彼女が居ない。

仕事があるときは金を使う暇が無い。暇があるときは金が無い。

 

People say time is money, but I only have time.

時は金なりというが、自分には時しかない。