政商たちのベーシックインカムから社会保障制度売却までのシナリオ② | 門前小僧、習わぬ今日を読む

門前小僧、習わぬ今日を読む

反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
アイコン,ロゴ画面はイラストレーターtakaさんより。
takaさんの詳細情報はブログ画面にて。

現状でベーシックインカムの導入が検討されると、

何らかの増税、

あるいは社会保障制度の廃止、

または給付の減額・保険料徴収の増額が行われる可能性が高い。

 

前回は、この前提までのお話をしました。

 

ベーシックインカムの財源をどうするか。

 

一つは増税。

 

社会権の確立による経済社会の安定へ所得・資産、給付口座情報の把握とベーシック・インカム(BI)等の給付水準・財源分析を求める(PDF)

前回参照した資料によると、

 

20歳以上に毎月7万、それ以下に3万の給付をする場合、

所得税を一律で30%に増税する案、

または、

毎月8万円の給付に対して、

現在の所得控除の総額137兆円のうち、約59兆円分の所得控除を廃止、その上で所得課税を一律56%にするという案。

 

これらはいずれもかなり難しい案ではないかと考えられます。

何しろ所得税を一律にしてしまっている時点で人頭税と全く同じであり、

所得税の重要な機能である所得の再分配機能も失われてしまいます。

これでは反対派からの反発はかなり強いものとなるはずで、

実現する可能性はほぼないといってよいでしょう。

 

それ以外で財源を求めるとすると何があるか。

 

やはり、

国庫負担の約3割、

36.7兆円に上る社会保障費でしょう。

 

当然、

全国民に一律10万円給付ということにでもなれば、

とても社会保障費を削っただけでは追い付かないほどの額になりますから、

ベーシックインカムの給付額をいくらにするのかも議論の的になりますし、

他の財源、

例えば消費税や所得税の増税、

その他の税目の増税や新税の設立なども視野に入るかもしれませんが、

 

ここで注目したいのは、

やはり議論の的にもなっている

社会保障費の減額、あるいは廃止議論

でしょう。

 

社会保障費が減額、あるいは廃止されるということは、

国民が支払う社会保険料の値上げ、

あるいは

国民が受け取る年金給付額、医療保険給付(窓口負担)額の減額、

あるいはその全ての撤廃などのデメリットがあります。

 

しかし、

 

国民全員に一律に、

恒久的に給付されるベーシックインカムがあれば、

多少年金や医療保険の給付額が減額になったところで、

国民の反発は起こりづらいと考えられます。

 

特に、

 

年金給付を受けていない層、

または

医療保険のお世話になっていない層

からすれば、

将来受け取れるかどうかも分からない年金、

将来お世話になるかどうかも分からない医療保険より、

 

今現在受け取れるベーシックインカムに魅力を感じてしまっても

無理からぬことでしょう。

 

しかも、社会保険料がちょっと値上げ、

あるいは給付額がちょっと減額、

例えば医療保険の窓口負担が現行の3割から3.5割、4割程度になっても、

 

毎月数万円をベーシックインカムで受け取れるなら、

無きに等しいと考える人も出てくるでしょう。

(もちろん、今現在医療保険を使っている人々にとっては、

かえって負担が大きくなる可能性の方が高いですが)

 

さて、この社会保障費が削られることによって、

得をする業界というのがあります。

 

そう、

 

外資含む民間の保険会社です。

 

日本の国民皆保険制度というのは、

彼らにとっては最大最強の参入障壁です。

 

国民皆保険制度がある以上、

彼らが日本の社会保険市場を食い物にすることは出来ない。

 

もし彼らが、

本気で日本市場を食い物にしようと考えるなら、

どのようなことでもやってくることでしょう。

 

そこで登場するのが、

 

日本の社会保障制度に代わる

新しい社会保障、生活保障制度である

ベーシックインカムというわけです。

 

ベーシックインカムを導入する代わりに、

社会保障費を減額できる。

上手くすれば撤廃できる。

 

もし減額も、撤廃も出来なくても、

財源問題

という最終兵器があれば、

財源不足を理由に、

いつでも社会保障費をジワジワと削ることができる。

 

これは、

 

日本の安全保障を食い物にしようとする政商たちが描く、

悪魔のシナリオなのです。

 

バナーイラスト たかさん