illustration by たか
「供給能力、労働者とは！？」
「「「安全保障の神！」」」
「需要とは！？」
「「「供給能力を支える柱！」」」
「お賃金とは！？」
「「「神に捧げられるべき
供物！！」」」
「供物を掠め取る盗人は？
「「「滅☆殺、
あるのみ！！」」」
「よろしい！！
だいぶ解って来たようですわね」
…
!!!???
っはっ!!??
私はいったい何を!?
「？
何を寝ぼけているの？
体術の修行、全集中の呼吸までの習得、お疲れさまでした。
ただのヘタレではなかったようですね」
あ、やっぱりフィクションのお話ですね
スパァン！！
うぉ、痛ってぇ！
ホントにもう、何でこんなに痛いのさ！？
「これが紛れもない現実だからです。
貴方にとっての」
それって妄想かもわからんってことですよね？
スパン！スパァン！！
痛っ！痛い！
「人のことを妄想呼ばわりとは、
失礼千万というものですよ？」
はい…。
…アレ？
今日は助手の方、二人とも女性なんです？
「ええ。
今日の講師助手、
きの子とカニぱん子です」
えーと、カニぱん子さんって、
この前お会いしたときは、確か男…
スパァン！！
痛い!!!
…って何ソレ！？
フランスパン？
フランスパンなんですか！？
「…」
何か言えや
スパァン！！
「もういいかしら？」
(何で私だけ…)
「さて、
賃金は常に下げ圧力に曝されています。
これは、
株主資本主義である以上、
逃れることはできません。
なぜかといえば、
企業は売上から経費や人件費を除く利益を上げ、
それを株主に配当などの利益として還元しますが、
人件費を安く抑えれば
その分株主の利益が増える。
当然、株主は人件費など経費を低く抑えるよう、
企業に要求するでしょう。
その方が株主の取り分、
つまり利益が増えるからです。
それを防ぐために、
法人税率をある程度高くしたり、
社会保険料を低く抑えたりして、
税制などの規制環境を整える必要があります。
もちろん、それだけでは足りません。
労働者からの賃上げ圧力。
これも極めて重要な要素です」
労組のトップが企業経営者や株主と結託する場合もありますからね
「当然、そうならないよう監視し、
必要ならば粛清します」
(新撰組みたいだな…)
「他にも、労働者に適正な賃金が支払われるように、
労働者自身に、
自分がどの程度の賃金が適正なのかを
知らせる必要があります」
基準は？
「クレヨンしんちゃんのパパです」
はい？
「クレヨンしんちゃんのパパは、
さえないサラリーマンというポジションにありながら、
郊外に一戸建ての家を建て、
子供二人を育てながら、
余暇には、ほどほどに旅行や娯楽を楽しんでいますね。
しかも、
奥さんは専業主婦。
労働者一人の賃金で、
家族３人を養ってもなお、
ゆとりある生活を送っている。
当然、
将来的な経済不安を抱えている様子もない。
まさに
標準的労働者の所得サンプルとしては
理想的なのです」
なるほど…。
「私たちNLGSTの計量分析班は、
各地域、各世代、それぞれに適正と思われる賃金の額を、
様々な要素を検討して標準的賃金として毎年公表しています。
それを、
労働者側が経営者側に賃金交渉の基準として提示することで、
交渉をやりやすくする、というわけです」
NLGSTって、ただの暴力装置じゃないんですね
スパァン！！
痛い…。
「当然です。
我々NLGSTでは、この
適正な標準的賃金水準を
最も重要な経済指標として採用すべき
としています。
これを賃金ターゲット論、
略して賃タゲ論と呼んでいます」
え？
「賃タゲです」
何て？
「ですから、賃タゲです」
よく聞こえません。
もう一度？
「…全集中…」
はい？
「ドSの呼吸…」
…
「玖ノ型！」
!!!???
「九頭竜閃！」
…
と、
また無理やり呼び出された
安全保障☆虎の穴。
なんかよく解りませんが、
どうやら向こう側に
アバターとして召喚
されてるみたいですね、私。
向こう側の私は、
順調に洗脳と身体強化が行われているらしく、
精神面では、
冒頭のように無意識になら
反射的に彼らの信念を叫んでしまえるレベルとなり、
ツェリ子さんの警策も、
意外と痛くなかったというよりは
ちょっと気持ちいいくらいな感じ
になっていました。
洗脳と身体強化というより
調教が進んだといった表現が
適切かもしれませんネ。
まぁ、
いくら調教が進んで強化された肉体であるとはいえ、
飛天御剣流の奥義を
全集中の呼吸上乗せで喰らうという
意味不明なダメージには、
さすがに意識が落ちることは避けられなかったようです。
ファンならば垂涎の体験ではありますが。
いずれにせよ、
いろんな意味でもう限界なので、
もう二度と呼び出されるのは勘弁してほしいところなんですが、
さて。
バナーイラスト たかさん
門前小僧のmy Pick