illustration by たか
…。
「お目覚めですか？」
！！！？？
「ようこそ。
国民生活安全保障☆虎の穴へ。
呼び出しに応じていただいて、うれしく思いますよ」
いや、応じた覚えは一切…
スパァン！！
うお、痛った！
やっぱソレめっちゃ痛いんですけど！
「まぁ、
呼び出し方が強制的
だったことは認めます。
でも、
貴方のようなヘタレ自称安全保障カルトは、
こうでもしないとここには絶対に来ないでしょう。
逃げ足だけは速いみたいですからね」
どうやってここに・・・。
「企業秘密です」
企業だったんですか？
「シャラップ」
スパァン！！
痛い！
よい子がマネしたらどうするんですか！？
「悪い子がマネする分には仕方ないでしょ？」
(よい子さえマネしなければいいというのか…)
「さて、
まずはこの
国民生活安全保障☆虎の穴
について概説しなければなりませんね。
ザク課長！」
「はいはーい」
!!!???
(黒スーツにザクヘッド!!!??
しかも旧ザク!?
っていうか、
スーツの袖から出てる手!?
足!!??
モビルスーツ？
モビルスーツなのこの人？？)
「はじめまして。
国民生活安全保障課、
課長のザクです。
正式名称はMS－06Fです」
(モノアイめっちゃ動いてる・・・)
正式名称て…。
「うむ、
キミが民間人で安全保障☆虎の穴、
通称ヤストラを受講したいと
わざわざここまでやって来た人かね？」
いいえ、
希望してないし
無理やり呼び出されたんですけど
「ここヤストラでは、
安全保障の座学だけでなく、
全集中の呼吸をはじめとした体術、
さらには鬼道までを学んでもらいます」
全集中のアレはまだいいとして、
(よくない)
鬼道って何ですか？鬼道って？
「自分の身を自分で守れなくては、
国民生活の安全保障など守れないからね。
是非ガンバってくれたまえ」
(くっ、なんというボケの機動力だ・・・。
最後までボケ倒された…。
緑なのに通常の三倍とは…)
「ではツェリ子くん、
あとはよろしく頼む」
「はっ」
なんか教えてる内容
ジャ〇プ成分濃過ぎませんか？
スパン！スパァン！！
痛っ！痛い！
「堂々と日本人差別発言とは、
ポリコレ棒で撲殺されたいの貴方は？」
その前に警策で撲殺されそうなんですけｄ
「シャラップ」
スパン！スパァン！！
痛い…。
「ごちゃごちゃうるさい。
話が始められないでしょう？
ではまず、
安全保障を規定する重要な要素は何か？
言ってごらんなさい」
えーっと、
食糧、エネルギー、
交通・輸送、治安・防災、
外交・国防、医療・福祉、
教育・研究
とか、その辺ですか
スパァン！！
痛っった！
「６０点です」
(及第点じゃねぇか…)
何が足りなかったのでしょう？
「貴方には、重要な視点が欠けているのです」
重要な視点とは？
「先ほど貴方が上げた項目は、
すべて国民生活の安全を保障するために必要な
モノやサービスのことですね。
では、
それらモノやサービスを生み出すのは何？」
供給能力ですか？
「その通り。
供給能力、すなわち国民の労働力です。
国民の安全保障を守るのは、
国民の労働力なのです。
つまり、
労働力、労働者こそ、
安全保障の神なのです」
(カルトっぽくなってきたな…)
しかし、労働力だけではダメでしょう？
設備などのインフラ、機材道具とか
実物資産的なものや、
企業などの組織が必要なのでは？
スパァン！！
痛い！
「その設備や機材道具を作るのは何？
人間の労働力でしょう？
機材道具や設備だけで、
畑で野菜が育つというの？
道路が建設できるのかしら？
そもそも畑は誰が耕すの？
いいですか？
世界は誰かの仕事でできているの。
この思想こそ、
安全保障の根幹であることを知りなさい」
はい・・・。
(どっかの缶コーヒーのCMで聞いたような…)
「そして企業というのは、
労働者、労働力という神
を宿す器のようなものです。
企業の目的が利益の追求などというのは
悪魔の思想です。
企業とは、
労働者に、
彼らの労働力を発揮する場所と、
生活するための所得を与える場であり、
その労働力をモノやサービスに変え、
社会という器に流すための道具に過ぎません」
しかし、モノやサービスの供給には、
国内生産だけじゃなくて輸入って手段もありますな
スパァン！！
ぐお！痛っった！
「そのとおりです」
(何で叩かれたのボク…？)
「しかし、
国内のモノやサービスの供給を
輸入に依存し過ぎると、
為替相場で通貨安圧力が慢性的に高くなって、
国内では制御しづらいインフレ圧力
になってしまいます」
なぜ輸入が増えると通貨安になってしまうかは、
こちらをご参照ください☆
スパン！スパァン！！
痛っ！痛い！
「宣伝なら他所でやりなさい」
いや、これ私のブログなんですｋ
スパァン！！
はい・・・。
「まぁ、図で示すとこういうことですね」
(これ、私が作った図じゃないか・・・)
「輸入相手国が何らかの要因でインフレになった場合などは、当然
その国からの輸入に依存してしまっている
国内の物価は上昇します。
賃金の変動とは無関係に、ね。
しかもその要因が、
戦争や内戦、国家レベルの天災や事故などで、
輸入相手国の供給能力が致命的に毀損された場合、
あるいは、
全地球規模の戦争や災害などによって、
世界的な需要が高まった場合も、
当然インフレを起こします。
もっともその場合は、
インフレを通り越してモノ不足
が起こることでしょう。
最近では、
コロナによるマスクなど医療品の不足が
よい例ではないかしら？」
あの時は値段も高騰してモノ不足も起きましたからね
(アナザーワールドの人物のクセに、
何でコロナ禍知ってんの？）
「そうならないためにも、
海外にモノやサービスの生産・供給を依存せず、
極力国内生産によって
供給を賄う必要があるのです」
しかし、極力国内での生産・供給を、といっても、
それを司る国内企業の経営者や株主の
資本があって企業が運営される、という見方も…。
スパァン！！
ぶべらっ！
「その企業が上げた売上、利益を稼いだのは誰？
労働者でしょう？
労働者たちと団結して働く経営者ならともかく、
外部から来て偉そうにしているだけの
プロ経営者や株ブタどもなど、
労働者の賃金の残り物でも
与えておけば十分。
そして労働力の恩恵を受けながら
労働者の所得を抑制し、
あまつさえ
掠め盗ろうとするような
鬼畜は滅殺あるのみです」
なるほど…。
「そういった鬼畜どもに天誅を加えるのも、
私たち国民生活安全保障課員の大事な役割です。
その役割を果たすためにも、
これから貴方には体術の修行を
してもらいます」
え？
なんか私、
国民生活安全保障課に入る前提に
(NLGST)
なってるんです？
「安全保障カルトを自称する貴方なら、
頭を垂れてむせび泣き、
喜ぶほど光栄なことでしょう？」
いやだってこれ、フィクション…
「シャラップ」
スパン！スパァン！！
痛っ！痛い！
「これから貴方は、
24時間耐久で、
ウチの課員に追い掛け回されます。
貴方は捕まらないように逃げるだけ。
簡単でしょ？」
…それってもしかして、
捕まったら24時間笑ってはいけないアレ
みたいに…。
にこっ
この状況で
そんな憂いのない
素敵な笑顔ができる感性が
信じられません
「…さあ、始めますよ？
ストレイバード！
「はっ」
また
アジリティ(敏捷性)の高そうなの
呼びやがったな…
「ザク課長！」
「はいはーい」
!!!!!????
「ハッハッハ。
よーし、手加減はしないぞ？」
カチャ
なんかブースター
増設してる!!!??
カチャって…
「さあ、準備はいいかしら？
始めるわよ～？」
人間って
こんなにもウキウキした表情が
できるんですね
「よーい！」
い、いやちょっとまっｔ
「スタート！！」
ううおおおおおおおおおおああ!!!??
…
その後、
通常の三倍のスピードで接近し、
そのまま場外へすっ飛んでいったザク課長
に代わり、
緑色繋がりでなのかよく解りませんが、
全集中の呼吸常中
を体得した武田(実)氏
が参加した
追いかけっこと呼ぶにはあまりに過酷な
体術修行では、
さんざんストレイバード氏と武田(実)氏に追い掛け回され、
捕まえられた挙句に、
実に楽しそうなお顔をした
天神ツェリ子氏の警策を尻に食らい続けるという
地獄のような時間を1時間ほど体験しました。
1時間ほどで済んだのは、
恐らく彼らが使うとおぼしき、
鬼道とかいう呪術の効果が切れたのでしょう。
鬼道っていうか血鬼術じゃねえのか
という疑問を残して、
私は悪夢から解放されました。
しかし、これで終わりとはとても思えません。
いつか、再びあの地獄が目の前に現れるのではないか？
そう、
これをご覧になっている、
貴方の目の前にも…。