国家戦略特別区域法と日本国民の信頼 | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
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国家戦略特別区


特区と諮問会議


2013年10月22日の三橋氏のエントリです。


ほとんどブレてませんね、三橋氏。

「安倍政権、正気じゃない」とまで言ってます。

そして、国家戦略特区、すなわち国家戦略特別区域法の問題点を、ほぼ余すところなく批判されています。


コメント欄を見ると、まだ安倍政権に対しては疑惑の眼差しは向けるものの、まだ完全には見切りをつけられないって人が結構多い感じですね。

無論、当時から今に至るも安倍マンセーを貫き通す人、当時から安倍政権のグローバリズム路線を見抜いている人、様々です。



さて、リブログ先において、三橋氏は

加計学園問題は完全に合法であるにも関わらず、国民が納得せず、安倍内閣の支持率が急落した理由について、


>明らかに不整合があるわけですが、政治とはえてして「斜め上」に動くものなのでしょう


とまとめています。


その上で、加計学園問題の源である国家戦略特別区域法の成立を受け入れた国民に対して、ひどくイラついていらっしゃるようです。


三橋氏には理解しかねる現象のようですが、私のような大衆的庶民には、合法(反対することなく法律を成立させた)にも関わらず、ANN調査で政府側の説明に「納得できない」と回答した国民の77.8%の人々の気持ちは、手に取るように解ります。


なぜ、国家戦略特別区域法などという、言わば“権力者が国家の資産を私物化する法律”が当時の国民の間でスルーされたかと言えば、「まさかそこまでしないだろ」という、内閣や官邸、あるいは大企業経営者といったものに対して、(今にして思えば)あまりにも楽観的に過ぎる“信頼”があったわけです。


国家戦略特区という制度について、

総理の個人的な付き合いとかではなく、

民間議員の私利私欲を満たすとかでもなく、


完全に外部からの、チャレンジ精神に富んだアイディアを募集し、それを安倍総理を議長とする国家戦略諮問会議のメンバーが吟味し、選ばれたアイディアを国家戦略特別区域にて試すという制度


というような、ある程度の公平性を持った制度という漠然とした甘〜いイメージを、国民が持っていたのではないでしょうか。


無論、国家戦略特別区域法には、議長である安倍総理の友人は対象外とか、国家戦略諮問会議のメンバーや関連企業は対象外などという規制はなかったわけで、今回の加計学園問題のような案件が起こる可能性はあったわけですが、「まさかそんなことはしないだろう」と、大多数の国民が思っていたわけです。


何故なら、

安倍総理のことを、当時大多数の国民が信頼していたからです。


しかしながら彼は、

安倍総理は、国民からの信頼を、平然と裏切りました。


それが加計学園問題とその炎上という現象の本質ではないかと思うわけです。


もし三橋氏の言うとおり、安倍総理が


「加計学園の獣医学部新設に関しては、わたくしの意向が大きく関与しました。何か問題でも?」


などと答弁していたら、それこそ支持率の急落は今以上のものとなり、退陣待った無しだったでしょう。


むしろそう答弁すりゃ良かったのに。


しかし、それは出来なかった。


何故なら安倍総理自身、自分が国民から「まさかそんなことはしないだろう」と“信頼”されていることを知っていて、言わば信頼に乗じてこの法案を成立させたからです。


安倍総理は、

総理の友人に便宜を図るような運用はしないだろう、

とか、

民間議員の私利私欲を満たすような運用はしないだろう、

と、自分が国民から信頼されていることを知っていたのでしょう。


だから、自分の関与を認められなかったし、認めてしまえば、「国家戦略特別区域法は、安倍総理と民間議員が私利私欲を満たすために国家の資産を食い物にするための法制度」だったことを認めることに繋がります。


加計学園問題は、言わば確信犯です。


法的には問題ないかもしれません。

明文化もされていませんし、今後もされないかもしれません。


しかしこれは、国民の信頼に対する重大な裏切り行為であり、政治倫理に悖る行為そのものです。


いずれにせよ、国家戦略特別区域法が制定された時点で、安倍総理の命運は決まっていたのかもしれませんね。