呉智英の劣化(3)

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 続きです。


 呉が特に目の敵にしているのは、作家の柳美里さんである。「ユウ・ミリ」と名乗るのが気に入らないそうである。韓国語でも、「柳」は「ユ」と読むのであって、「ユウ」と読むのは韓国語でもない、そもそもここは日本なのだからリュウ・ミリと名乗れというわけである。


 しかし日本においては、名前はどう読もうと本人や名づける親の勝手である。極端な話だが、「馬鹿」と書いて「かしこ」と読もうと勝手なのである。そのため、近年ではまともに読めない名前(いわゆるキラキラネーム)が増加しているのは周知の通りである。

 固有名詞の読み方を制限する法律はない。そのためか、文法から外れる名称を使用しているのは人名だけではない。キヤノンという会社は、なぜかキヤノンと表記してキャノンと読む。ブルドックソースを販売している会社は、ブルドッグソースではなく、ブルドックソース株式会社である。商品にはブルドッグの顔のイラストが描かれ、Bull-Dogという表記もあるのに、なぜかブルドックなのである。

 そんな例を出せば、きりがないほどであろう。

 神戸市東灘区には青木という地名がある。青木と書いて「おおぎ」と読む。阪神電車の青木駅はおおぎ駅と呼ばれている。

 沖縄県には豊見城という地名がある。とみぐすくと読む。そのとみぐすく市にある豊見城高校はとみしろこうこうである。

 この場合、呉はどちらにイチャモンをつけるのであろうか。豊見城をとみぐすくと読むのはおかしい、とみぐすくにある高校なのにとみしろと読ませるのはおかしい。地名と学校名、おかしいのはどちらですか?

 どちらも正しいのである。

 柳美里も、本人が「ユウ・ミリ」と名乗れば、それが正しいのである。


 呉はこれまで、キヤノンやブルドックソースや阪神電鉄や豊見城市や豊見城高校に対して文句を言ったことはない。また、キラキラネームの氾濫に苦言を呈するのも聞いたことはない。

 要するに、あの駄文はただのマイノリティ・バッシングに過ぎないのである。宝島社から持ち込まれた企画に迎合し、意味のない差別文を書いただけである。

 かつて、「知の戦士」を自称し、豊富な知識と読書量を誇った呉は、評論家としてのプライドをハシタガネ原稿料で売り渡した差別主義者に成り下がったというわけである。

 呉は、その著書「バカにつける薬」の中で、ある政治学者をやはりこき下ろしている。その学者が政治改革として、選挙権を得る年齢を20歳から18歳に引き下げよと主張したことに対して、「それで政治が変わるはずもない、選挙権が18歳からであろうと20歳からであろうと、どうでもいいこと。どうでもいいことを熱心に主張するのはバカ」というわけである。

 国の財政赤字が1000兆円を超え、将来世代に負担が重くのしかかる現状を見れば、借金を負わされる世代にも選挙権を与えるべきという議論は意味のあるものであり、選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げるべしというのはどうでもよいとは言い切れまい。

 柳美里がユか、ユウか、リュウかは、それよりもはるかにどうでもいいことである。

 呉批判はまだ続きます。

 


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