2021・5月訪問(2025・1月修正)
緊急宣言とかで町の旗艦施設である道の駅がずっと休業してるため
うちにも一見のお客さんがかなり流れてくるようになってしまったのですが。
うちにまで辿り着いてから
蕎麦の単品がない
コースしかないので時間がかかる
と知って帰られる方も結構おられます。
お客さんにとってもうちにとっても無駄な時間の浪費になるので
良い機会だしうちがどんな料理出してるのか?どんなことを伝えたいのか?
を先に知っておいてもらった方がいいのではと思い
客観的に自店のことを書いてみることにしました。
電話や来店する前の参考にしてもらえれば幸いです。
京都駅からだとバスで1時間半。
現実的に車でしか行けないような不利なロケーションですが
ハードルが高ければ高いほど期待も高まるのが世の常。
喫茶店を改装したそうで外観はまるで情緒のない粗雑な造りですが。
中に入ると。
靴を脱いであがる板敷の上には底上げした囲炉裏テーブルと
奥には座敷と薪ストーブが鎮座。
外観とはミスマッチな山小屋的雰囲気が旅情を掻き立てますね。
席数はゆとりを取っておられるので2×4の8名で定員。
ざっとメニュー確認。
こちらは蕎麦の単品メニュー無しで
終日コース料理のみの提供になります。
全て英語メニューも併記されてました。
土日はサラダに小浜港直送の鮮魚が加わり少し値段が上がります。
土日のジビエランチ。
そんなにたくさん食べられない方用に
蕎麦のないおかずだけのコースもあります。
そしてこちらがディナーコース。
ディナーは平日週末ともに共通。
こちらがジビエディナー。
ちなみにジビエは地元のハンターさんから直接枝肉で仕入れてるので
鹿猪不猟時(特に春先とか)は欠品のこともあるそうです。
地酒も充実してますがロケーションを考慮すると
店主さんの趣味と言った意味合いが強いのかもしれない。
出生地が能登だそうで能登のレアな酒が充実してます。
今回は標準的なディナーのBコース(¥3300)で。
手前左から時計回りに。
大根と日の菜デーツ豆乳コールスロー、キャベツとカリフラワーカレーサブジ
薩摩芋としろ菜石狩風、魚のあらと冬瓜里芋コチュジャン煮、黄蕪と山東菜金柑中華風マリネ。
とのっけからかなりマニアックな内容です。
一般的なチェーン店の食事に慣れてる人はちょっと戸惑うかもしれない。
店主さんに聞いたところ前菜は鰹出汁ではなくほとんど自家製の鶏がらをベースにして。
砂糖は使用せず甘味が欲しいときはフルーツや根菜を利用するのだとか。
この日は平日なので美山の生湯葉とクリームチーズのサラダ。
ドレッシングは醤油とオリーブ油ベースを主体に
フレンチドレッシングと胡麻ポン酢ドレッシングと三層の味付けだそうです。
もちろん全て自家製。
野菜はほぼ近くの契約農家さんから直接収穫したものと
お母さんの自家栽培だそうです。
とにかく鮮度が瑞々しい。
週末のサラダは小浜の鮮魚になるそうです。
はたはたの自家製二夜干し。
こちらももちろん小浜港で仕入れてきたもの。
そして次に京地どりの焼き鶏。
左から皮、鶏冠、せせり、砂ずり、肝。
塩かタレか選べます。
美山から直送してもらう丸鶏を一羽丸ごと解体されてるそうで
その骨やがらが前菜のスープに生かされるのですね。
名古屋コーチンと軍鶏と黄斑ロックの交配種だそうで
160日ほど飼育された若鶏だけあって地鶏特有のゴムゴム感もなく。
適度な歯ごたえとジューシーな旨味を感じられる。
そしてようやくメインディッシュ。
芭蕉カジキのソテー香菜ソース。
もちろんこれも小浜で上がった魚。
鰹系の出汁が効いたパクチーソースが意外にマッチしてる。
そして相方のメインディッシュは。
紋甲イカときのこのチゲ煮。
とても蕎麦屋で出てくる料理とは思えないですが
こちらもしっかりした旨味系のお出汁。
これで大盛(+¥330)で150g。
この日は店主さんの地元の能登町内浦地区のお蕎麦。
在来ではなく福井の丸岡の蕎麦を移植して現地で定着させたそうです。
農家さんから直接玄蕎麦を引き取り自店できっちり管理してるとのこと。
殻ごと玄挽き自家製粉の十割。
10メッシュ、30メッシュ×3で計四回篩うのだとか。
1kgの玄蕎麦を挽くのに8時間くらいかかるそうです。
さすがに繋がりにやや不備はありますが
甘皮部分まで挽きこんであるので豊かな玄の風味を感じられる。
蕎麦湯はポタージュ系。
南部鉄器で出てきました。
南瓜の豆乳アイス。
もちろんこれも自家製。
蕎麦はもちろんのこと前菜からデザートにいたるまで
丁寧な仕事が伝わってくる料理でした。
ただしとにかく時間がかかるので
短時間でパパっと済ませたい。
というような目的ではお勧めできません。
時間にゆとりをもって唯一無二の蕎麦コースを楽しみましょう
蕎麦美庵物味遊山
京都市右京区京北周山町東丁田13-3