レンタルビデオ店に来る奴ら | 快児オフィシャルブログ「快児ワードファクトリー」Powered by Ameba

レンタルビデオ店に来る奴ら

今はドラッグストアでバイトをしているが、俺のバイト人生の半分以上がレンタルビデオ店だ。大阪羽曳野市のTSUTAYA、池袋のサンシャイン通りに半年間あったTSUTAYA、そして池袋北口のGEOだ。

TSUTAYAはいい。マニュアルもしっかりしていて誰がどの時間どこを担当するということも決まっている。なにより綺麗だ。

しかしGEOだ。関西の人は知らないかと思うが全国的にはTSUTAYAに次ぐ売り上げを誇るレンタルチェーン店である。
が、中身は全く違う。システムは適当な上ころころ変わり、誰もそれを理解していないまま営業している場合すらある。
なによりドンキホーテ並にごちゃごちゃしてて汚い。

さらに深夜社員不在ということが多々ある。池袋のようなやばい人がわんさか来るところでだ。

池袋のGEOには本当によろしくない人間が来まくる。
ホストは基本お金を投げてよこす。しかも
「今からなんて居酒屋行くんだっけ?南の家族?」
とか言って爆笑するような神経の持ち主。
中国人は人の話を一切聞かない。
「こちらのカードはご家族であっても貸さないようにしてください」
の、「ご家族」の時点で
「わかった」
と無表情で言う。何がわかったのか説明してくれないか。

なにより嫌だったのが盗んだクレジットカードで買い物に来るチンピラだ。中古品は足がつきにくいし他の店よりもセキュリティが甘く、社員がいない時間帯があることを知ってるから来るのだろう。
彼らはいつも3人以上で来る。そして「兄貴」と呼ばれるいかにもな男が
「この店で1番たけーもの10個くれよ」
などといかにもなことを言う。アホすぎてばれることも怖くないらしい。
そして毎日ワルのくせに相当努力しているとしか思えないマッチョ大男が睨みをきかし、1番下っ端のやつがサインをする。

ある日、いつものようにその3人組みが来てプレステ2の限定色を7個用意しろと言った。下っ端は
「ちょっとちょっと、早くしてくんない?」
といきがる。
そしてサインをする段になった。

突然下っ端が震え出した。
「あれ?あれ?」
と、言っている。
見ると、サインの途中の漢字で悩んでいるのだった。
そのカードの本当の持ち主の名前はなんとか龍一郎だった。
下っ端は「龍」の「つくり」の部分下の横棒の数がわからないのであった。

おもしろくなったので
「どうされました?何を悩んでらっしゃるんですか?」
と、聞いてやった。
「え?あ、あの、酔っ払ってるからさ、漢字がね・・・」
「あれ?酔っ払ったら自分の名前忘れてしまうんですか?」
「いや、かなり、飲みましたからね」
もはや敬語になっている。
そして
「かなり飲みましたよねー兄貴!・・・・っていないし!」
コントか。サインにもたもたしていて危険を感じたらしい兄貴たちは、外に停めたワゴンに乗っていつの間にか去っていたのだった。

残された下っ端は半泣きになっていた。いや、全泣きになっていた。

その後下っ端は、龍の字を2回書いては消して、諦めて逃げた。