司馬遼太郎
陸別を開拓した関寛斎という人物について知りたく、司馬遼太郎の「胡蝶の夢」を読んでみた。たぶん、司馬遼太郎は、佐渡で生まれた伊之助について書いていこうと思っていたのだろうけど、出費中に松本良順と関寛斎と2人に興味を惹かれたのではないかと思うくらい、関寛斎に関しては、当初一人の登場人物とした書かれてたが、後半になるにつれて1つのエピソードとして書かれるようになっていく、逆に松本良順は、後半になるにつれ、影が薄くなっていく。その中、伊之助だけはこの小説の中では1本軸のようにして書かれている。
日本の近代医療の始まりを、前半は本当に丁寧に書かれいる。なぜか、明治になるとプロローグのような書き方で終わってしまう。しかし、最後の章が「陸別」という文字が見えた時に、関寛斎の最後を知ってることもあって、とめどなく涙が溢れてきた。どんな思いで、全てを捨てて息子と陸別で開拓をしたのか、この本を読んでいてもわからなかった。そして最期は服毒自殺をしてしまう。陸別の関寛斎博物館に行くと、彼の長い人生をわかりやく見せてくれる。たぶん、子供達も授業でつかうだろから、ここの博物館では自殺したことは書いてなかったように思う。
この本を読んでいると、他の司馬遼太郎作品とはちょっと違う感じがした。なんだろう、他の作品に比べて司馬遼太郎の感情が文章に出てきてるように感じた。それに、徳川幕府の崩壊を、客観的に見せてくれた。
官軍の関寛斎、滅びゆく徳川に松本良順と、ものすごく劇的な話なんだけど、このへんになると急になぜか、あまり読者が入り込むような文章ではなくなって、とてもあっさりとしてしまう。この辺の資料がないのかもしれないけど、もう少しこの二人のエピソードが知りたかった。
