9:04A.M.

阿世潟峠に着くが、相変わらず視界は白い世界だ。

その静寂を破るようにシカの鳴き声が響き渡る。

 

カサをさしながらの登山はけっこう気をつかう。

雨でスリップしやすいし、さらに悪いことには、

雨具のズボンのストレッチがきかないので、

スムーズに足を引き上げられない。

彼女は遅れずについてくる。さすが、高校時代クロスカントリーの

選手だけのことはある。

 

9:30A.M.

雨量観測のアンテナが立つ岩場に来ると、

雨がさらに激しくなってきた。

相棒は、社山まで行けるよ、と言ったが、

ここで引き返すことにする。

眺望もまったくきかないし、登山道はさらに滑りやすく

なんべな、、