Python入門書16冊を読み比べてみた

プログラミングを始めたい人、必読!







もっとも人気のあるプログラミング言語Python

 「政府がIoT(モノのインターネット)を推進」「小学校でのプログラミング教育が必修化」などのニュースを耳にするたび、プログラミングに関心を持ったり、始めたいと思ったりしている人も多いはず。

 Pythonは今、もっとも人気のあるプログラミング言語(Googleでプログラミング言語のチュートリアルが検索された回数を分析しているサイト、「PYPL PopularitY of Programming Language」 などより)です。人工知能やデータサイエンスの分野で使われながらも、シンプルでわかりやすく、これからプログラミングを始めたい人に最適と言われています。数年前まではPythonに関する書籍はそれほど多くありませんでした。しかし、現在では特にディープラーニングや機械学習など人工知能に焦点を当てたものまでを含めて、Python関連書籍は増え続けています。


 以前、「プログラミング+」では、『最強のJava入門書はどれか?(2016年秋) 』 というタイトルで座談会を行いました。その際、プログラミングを学ぶにあたって、そもそも「本で入門するのがよいのか?」という疑問が呈されていましたが、入門書が求められていることは刊行点数の多さが示しています。そこで今回はPython入門書を各出版社に提供いただき、内容を比較してみました。


Python入門書は2017年から急増

 今回、紹介するPython入門書は22冊です。前述の通り、人工知能関連まで含めると、Python絡みの本はもっとあります。しかし、今回はそれらの書籍や中級者以上を対象にしていると思われる書籍は取り上げていません。電子書籍も外しました。また、古い書籍やPython3に対応していないものも比較検討外としました。Pythonにはバージョンがあって、Python2の最後のバージョンは2.7です。それ以降はPython3です。これから勉強する人は自ずとPython3を使う場合が多いと考えられますので、今回はPython3に対応している書籍を対象としています。そういった観点で、Python入門書と思われる書籍をリストにすると、下記の通りです。発行点数が2017年から飛躍的に増えていることがわかります。


知らないことだらけ・・・初学者ならではの戸惑い

 Pythonに限らず、プログラミングの入門書を手にする人はそもそもプログラミングとは?というところからわからないことが多いと思います。本当の初学者は、Pythonというソフトウェアをインストールしないと使えないことすら知りません。「変数」などの専門用語が出てきても、チンプンカンプンな人が多いはず。なにより筆者がそうでした。

 また、Pythonを動かすには、主に下記のような方法があり、初学者はこれにも戸惑いを覚えます。


・テキストエディターでプログラムを書き、保存したファイルを読み込ませて実行すること(コマンドラインに結果が表示)。
・コマンドライン(Windowsならコマンドプロンプト、PowerShell など。Macならターミナル)に直接プログラムを書く対話形式(「インタラクティブモード」「インタラクティブシェル」など書籍によって呼び方が異なるので注意)があること。
・Pythonの統合開発環境(IDLE)を用いること。
・Anacondaに内蔵されているJupyter Notebookに直接、プログラムを書くこと。


 筆者は、コマンドラインの画面も、Pythonを学ぶ過程で初めて見ました。コマンドラインなどの解説が不十分な書籍は、挫折につながりかねません。個人的には、Pythonのディストリビューション(外部ライブラリーを組み込んだ特別版みたいなもの)であるAnacondaをインストールして、そこに内蔵されているJupyter Notebookという、ウェブブラウザー上で動作する対話型開発環境を使って学んだほうがとっつきやすいと思います。というのも、Pythonは便利なライブラリーが特に充実しており、それが特徴にもなっています。ライブラリーを使えば、複雑なプログラムを書かずに、グラフを表示するなど便利なことが行えます。最初にAnacondaさえインストールすれば、Jupyter Notebookだけでなくそうしたライブラリーも使えるようになるので、あとは学びやすいという印象ですが、そのあたりは学ぶ目的によっても異なるので、一概には言えません。

 そういった点を踏まえ、どれだけ初学者向けかという視点で、書籍を1冊1冊見ていきたいと思います。なお、今回紹介している書籍はすべて初学者向けで、図がたくさん記載されていますが、その中でもパソコン初学者寄りの本を「超初学者向け」、写真やイラストが多い本を「ビジュアル重視」、ゲームなどの例題を通して学んでいくスタイルの本を「体験系」、初学者向けながらも応用までの幅広い内容を含めたり、辞書的な本を「リファレンス系」と便宜的かつ主観的に呼ぶことにしました。



3ステップでしっかり学ぶPython入門 [ 山田祥寛 ]
¥2,678
楽天
著:山田祥寛、山田奈美 発行:技術評論社 2,480円+税
2018年6月初版発行。Python、テキストエディター(Visual Studio Code)のインストールまで詳細に記載。なぜテキストエディターを使うのか、理由が書かれていないなと思っていると、第3章でイラストを交え、インタラクティブシェルとテキストエディターに書き込む形式の両方を詳しく解説している。プログラミングの基本を細かく分けて解説しているが、「input関数」「リスト型」というタイトルではなく、「ユーザーからの入力を受け取る」「複数の値をまとめて管理する」といった表現をしているところが初学者には親切。オールカラー。ビジュアル重視、超初学者向け書籍。



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わかるPython[決定版] [ 松浦 健一郎 ]
価格:2570円(税込、送料無料) (2018/6/14時点)


著:松浦健一郎、司ゆき 発行:SBクリエイティブ 2,380円+税
2018年5月初版発行。Pythonのインストール方法を紹介した後、すぐにprint関数、文字を表示させるためのクォーテーションの使い方などの基本文法の解説が始まる。プログラミング初学者およびパソコン初学者には難易度高めである。その分、文字列のスライスなど、他の入門書があまり触れていない内容についての記載もある。後半の「実践編」では、機械学習、ニューラルネットワークなどの仕組みについて図で紹介しており、幅広い内容をカバーしているのが特徴と言える。文法を1つずつ解説していくチュートリアル要素とリファレンス要素が8:2のような印象。



やさしいPython (「やさしい」シリーズ)/高橋 麻奈
¥2,786
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著:高橋麻奈 発行:SBクリエイティブ 2,580円+税
2018年5月初版発行。テクニカルライターの高橋麻奈氏が執筆した「やさしい」シリーズのPython本。Pythonではなく、Anacondaのインストールから解説が始まる珍しいパターン。パソコン初学者にとっては戸惑うことがあるかもしれない。何のために行っている作業かについての説明が少ない印象だが、Pythonの動かし方については解説が細かく、本の通りに学習を進めていけば、あとから理解がついてくると思われる。チュートリアル系の本でありながら、リファレンス的な要素もある。



かんたん Python (プログミングの教科書)/掌田 津耶乃
¥3,002
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著:掌田津耶乃 発行:技術評論社 2,780円+税
2018年3月初版発行。「かんたん」シリーズのPython版。IDLEを使用。2色でシンプルな誌面。かつ600ページもあるため、初学者にはとっつきにくいかもしれないが、Pythonのインストールなど、学び始める環境を整えるまでの解説は詳しい。また、学ぶべき内容が網羅的に書かれている。「エラーと例外処理」の章など参考になる内容も多いので、最初から学び進めるだけでなく、辞書としても使うことができる。チュートリアルとリファレンスが7:3くらいの印象。



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Pythonの絵本 Pythonを楽しく学ぶ9つの扉 (絵本) [ 株式会社アンク ]
価格:1922円(税込、送料無料) (2018/6/14時点)


著:株式会社アンク 発行:翔泳社 1,780円+税
2018年2月初版発行。他の本で詳しく解説されている、Pythonのインストールやコマンドラインの説明が必要最小限に抑えられている。パソコン操作に慣れている人は読み進めやすいだろう。「ファイルオブジェクト」「ファイルの読み込み」「ファイルへの書き出し」というように順を追って、見開きで説明が完結するように工夫されているのが特徴。税込で2,000円以下という価格も魅力。ビジュアル重視の書籍。




著:森巧尚 発行:翔泳社 1,980円+税
2017年12月初版発行。Python本では珍しい、キャラクターが対話形式でPythonを解説していくスタイル。パソコン初学者にとって聞き慣れない用語の解説やエラーについての言及もある。インデントの重要性などもわかりやすく紹介している。主に用いるのはIDLEだからか、一般的なテキストエディターの紹介などはなく、ほかの本とは異なった構成。基本文法を簡潔にまとめながら、ちょっとした人工知能の開発体験までも含めている。オールカラー、ビジュアル重視、超初心者向けの体験系書籍である。



たった1日で基本が身に付く! Python超入門【電子書籍】[ 伊藤裕一 ]
¥2,225
楽天
著:伊藤裕一 発行:技術評論社 2,060円+税
2017年8月初版発行。オールカラー。「たった1日で基本が身に付く!」シリーズのPython版。「Pythonは単純なバッチ処理(スクリプト)を簡単に書くこともでき、なおかつ関数型の強みを簡単に使うことができます」など、全体的に表現が難しいが、関数の役割を3つの視点から解説したり、「なるほど」と思う話も多い。絵を動かすというような具体例をこなしながら、プログラムを学んでいくという体験系の書籍ではなく、必要不可欠な理屈と方法を順番に解説している。



いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで (「いちばん.../株式会社ビープラウド
¥2,376
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著:鈴木たかのり、杉谷弥月、株式会社ビープラウド 発行:インプレス 2,200円+税
2017年8月初版発行。「いちばんやさしい教本」シリーズ。オールカラーで、著者のイラスト入りコメントがあり、とっつきやすい印象。特にコマンドラインの使い方が詳しい。Pythonに限った話ではないが、ディレクトリーやファイルの置く場所の解説は、初学者にはありがたい。具体例を実行しながら学んでいく体験系のビジュアル重視書籍で、「干支の順番を計算する」「生徒の評価を表示するプログラム」など例が独特。後半はWEBアプリケーションについても触れられている。ライブラリーにも触れられているが、解説は多くはない。超初心者向け。



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スラスラわかるPython (スラスラわかる) [ 岩崎 圭 ]
価格:2484円(税込、送料無料) (2018/6/14時点)


著:岩崎圭、北川 慎治 監修:寺田学 発行:翔泳社 2,300円+税
2017年8月初版発行。Python、テキストエディター(Visual Studio Code)のインストールを含め、環境を整えるまでの説明が親切。各章の冒頭に登場する四コマ漫画が特徴。「エラーと例外」にも1章を割いて説明されている。モジュールやパッケージ、Webスクレイピングについても解説されていて、リファレンス要素もあり、簡潔ながらも幅広い内容を学ぶことができる。超初心者向け。



【送料無料】 詳細!Python 3入門ノート / 大重美幸 【本】
¥2,894
楽天
著:大重美幸 発行:ソーテック社 2,680円+税
2017年5月初版発行。PythonとともにAnacondaのインストールを推奨。プログラミング用語の説明が少ないなど、パソコン初学者には理解が難しい面がある。一方で、文字列の数字の説明など、わかりやすい図も多い。特に「書式」という名前で、文法の意味と書き方をまとめた要点解説は、それだけ切り抜いて覚えたいくらいだ。Numpyの配列、機械学習についても書かれている。ライブラリー、モジュールについては章を立てて紹介する本が多いが、この本はその都度活用している。基本はチュートリアル系書籍だが、リファレンス的な要素も強い。



いちばんやさしい Python入門教室/大澤 文孝
¥2,462
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著:大澤文孝 発行:ソーテック社 2,280円+税
2017年4月初版発行。IDLEを用いて説明。エラー表示、空白や改行についての説明、初学者が犯しやすい間違い、#によるコメントの書き方など、初学者を想定した解説がありがたい。途中から数当てゲームなどを題材に、解説が進んでいく。ライブラリーについてはまとめて説明するのではなく、適宜言及・使用されている。オールカラー。前半はチュートリアル的で、後半は体験色が強くなっていく。超初心者向け。



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みんなのPython 第4版 [ 柴田 淳 ]
価格:2916円(税込、送料無料) (2018/6/14時点)


著:柴田淳 発行:SBクリエイティブ 2,700円+税
2017年1月初版(第4版)発行。版を重ねるPythonのベストセラー書籍。Pythonだけではなく、AnacondaとJupyter Notebookについての解説も詳しい。また、方法だけでなく、なぜそのようにするかが明快にわかる。初学者は最初、変数名と予約語の区別もつかないレベルなので、個人的には変数名のつけ方など各種のコラムが参考になった。チュートリアル要素とリファレンス要素のハイブリッドで、理解が進んでいる人にとっても辞書的に使用できる1冊。



確かな力が身につくPython「超」入門 (確かな力が身につく「超」入門シリーズ)/鎌田 正浩
¥2,678
Amazon.co.jp
著:鎌田正浩 発行:SBクリエイティブ 2,480円+税
2016年3月初版発行。オールカラー。今回取り寄せた書籍の中では、Python2とPython3の違いが最も詳しく書かれている。プログラムの基本を詳しく解説しているだけにとどまらず、外部ライブラリーの活用や画像処理、トラブルシューティングまで記載されている。幅広い内容が特徴の超初心者向けの1冊。





著:Guido van Rossum 翻訳:鴨澤眞夫 発行:オライリー・ジャパン 1,800円+税
2016年3月初版発行。Pythonの作者Guido van Rossum氏自身の著書で、リファレンス系書籍。後述の『入門Python3』もそうだが、プログラミング初学者には理解が難しい面が多々ある(なにより表現が難しい)。その分、他の言語の経験者には、Pythonを学ぶ際のポイントが押さえられていると言えるのかもしれない。巻末に用語集があり、初学者はわからないことがあったときに辞書的に使うと良いだろう。価格もお手頃だ。



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入門Python 3 [ ビル・ルバノビック ]
価格:3996円(税込、送料無料) (2018/6/14時点)


著:Bill Lubanovic  監訳:斎藤康毅 翻訳:長尾高弘 発行:オライリー・ジャパン 3,700円+税
2015年12月初版発行。冒頭、「Pythonと多言語の比較」「Pythonを避けるべきとき」などについて書かれ、様々なPythonの使い方が記載されている。ページも550ページを超えている。プログラミング入門者はたぶん読めない。書名に「入門」と書かれているが、データを自在に操るためのテクニックや並行処理など他の言語を学んだことのある人や、本格的にPythonを活用していく人向けの格好のマニュアル兼リファレンス的な書籍と言える。



たのしいプログラミングPYTHONではじめよう! / 原タイトル:Python for Kid...
¥3,024
楽天
著:Jason R.Briggs 翻訳:磯蘭水、藤永奈保子、鈴木悠 発行:オーム社 2,800円+税
2014年2月初版発行。解説が詳細過ぎて、パソコンやプログラミング初学者には、逆に難しく感じるところがある。その分実用的と言えるのかもしれない。いろいろな関数やモジュールの活用事例が書かれている。主に絵の描き方・動かし方を学びながら(この点は好き嫌いが分かれるかもしれない)、Pythonの説明が進んでいく、体験系要素を含んだ書籍である。