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知らないうちに始まっていた「森林環境税」って何?


実は私たち全員が払う新しい税金のお話です。



最近、日本ではあまり大きく報道されていないのに、実は静かに始まった税金があります。  



それが「森林環境税」です。



この税金は2024年度からスタートしました。しかも対象は一部の人ではなく、日本に住むほぼすべての人です。



「え?そんな税金あった?」と思う人も多いかもしれません。



実はこの税金、気づきにくい仕組みになっています。というのも、森林環境税は個人住民税(均等割)に上乗せされる形で、市区町村を通じて徴収される国税だからです。



住民税の明細の中に紛れ込む形なので、意識しないと見落としてしまいます。



金額は年1,000円。  



つまり私たちは、知らないうちに毎年1,000円を森林のために支払うことになります。



では、なぜこんな税金が作られたのでしょうか。



◆日本の森林が今ピンチ



理由は、日本の森林が今かなり深刻な状態になっているからです。



日本は国土の約7割が森林と言われています。世界的に見ても、かなり森林が多い国です。  



ところが現在、その森林の多くが「放置されている」と指摘されています。



原因はいくつかあります。



•林業で生活する人が減っている  

木材価格の低迷や高齢化の影響で、山の手入れをする人がどんどん減っています。



•山の所有者が分からない  

相続などで土地の名義が複雑になり、誰が管理するのか分からない森林が増えています。



こうして手入れされなくなった森林は、さまざまな問題を引き起こします。



放置された森林が生むリスク

1つ目は、災害リスクです。

本来、森林は土砂崩れや洪水を防ぐ役割があります。  



しかし、適切に管理されていない山では、木が弱り、地面の土も流れやすくなります。  



その結果、豪雨のときに土砂災害が起きやすくなってしまいます。



もう1つは、地球温暖化との関係です。

森林には二酸化炭素(CO₂)を吸収する役割があります。  



森林が元気であれば、温暖化対策にもつながります。  



しかし放置された森林では木が十分に成長できず、期待されるほどCO₂を吸収できないと言われています。



◆森林環境税は何に使われるの?



森林を整備するための新しい財源として国は、森林環境税をつくりました。



税金そのものは国税として徴収されますが、集めたお金は「森林環境譲与税」という形で都道府県や市区町村に配られ、実際の使い道を担うのは地方自治体です。



主な使い道として、次のようなものが挙げられています。

•森林の間伐や整備

•林業の人材育成

•森林管理の仕組みづくり(所有者不明森林への対応など)

•木材利用の促進(公共建築物への木材利用など)

•災害対策としての森林整備


つまり、森林が多い地域だけが対象というわけではなく、全国の自治体がそれぞれの地域の実情に応じて森林や木材利用に関わる仕組みになっているのです。



◆実は2019年から「下地づくり」は始まっていた



森林環境税は、いきなり2024年にポンと出てきた制度ではありません。



実はその少し前から準備が進められていました。



2019年にはすでに「森林環境譲与税」という制度が始まり、自治体にはお金が配られていました。  



この段階では、まだ私たちが直接新しい税を払っていたわけではなく、国のほかの財源を使って譲与が行われていたイメージです。



そして2024年から、その財源をしっかり確保するために、国税としての「森林環境税」の徴収が正式にスタートしました。  



平年度ベースでは、全国で年間およそ600億円規模の税収になると見込まれています。



◆本当にうまく使われているの?



とはいえ、この税金には少し議論もあります。

それは「本当にうまく使われているのか?」という問題です。



一部の自治体では、森林整備の具体的な使い道が十分に決まらず、配られたお金がそのまま基金として積み立てられているケースもあると指摘されています。  



担当する職員や専門人材が足りず、「お金はあるけれど、どう事業化するかが難しい」という現場の悩みもあるようです。



◆みんなで少しずつ山を守るための仕組み



日本は災害の多い国です。  



山の管理は、防災の観点から見てもとても重要です。



私たちは普段あまり意識しませんが、遠くの山の状態が、自分たちの暮らしや安全に大きく関わっています。



森林環境税は、そうした日本の森林を守るために作られた税金です。  



1人あたり年間1,000円という小さな金額ですが、全国で集めると平年度で約600億円規模になります。



つまり、この税金は「みんなで少しずつ出し合って、日本の山を守ろう」という仕組みと言えるかもしれません。



気づかないうちに始まっている税金は、実は意外と多いもの。  



森林環境税も、その一つです。



自分の住民税の明細を一度見直して、「あ、ここに書いてあるのがそうなんだ」と確認してみると、税金との距離が少しだけ近くなるかもしれませんキラキラ