近頃、ガソリンスタンドの価格表示を見るたびに思います。
「また上がっている…」と。
一時期は少し落ち着いたように感じていたのに、ここへきて再び上昇傾向。
ほんの数円の違いでも、満タンにすればじわりと家計に響きます。車が生活必需品の家庭にとっては、見過ごせない変化です。
では、なぜ最近また高くなってきているのでしょうか。
最近の上昇要因1:中東情勢の緊張
理由のひとつは、中東情勢の緊張です。
中東には世界有数の産油国が集中しており、政治的な不安や軍事的な衝突が起きると、原油価格は敏感に反応します。
特に重要なのが、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ
「ホルムズ海峡」です。
ここは中東から世界へ原油を運ぶタンカーの多くが通る重要ルートで、いわば石油の大動脈とも呼ばれています。
最近も米国とイランの緊張や国際情勢の不安定化により、原油価格は高値圏で推移しています。実際に海峡が封鎖されなくても、「止まるかもしれない」という思惑だけで市場が反応するのが原油市場の特徴です。
日本は原油輸入の大部分を中東に頼っているため、この影響を強く受けます。
最近の上昇要因2:円安の進行
もうひとつの要因が、円安の影響です。
日本は石油のほぼすべてを輸入に頼っています。そのため、円の価値が下がると、同じドル建ての原油でも円で支払う金額が高くなります。
為替が円安水準にある状態で原油価格が持ち直すと、輸入コストはさらに押し上げられます。
原油そのものの価格が大きく変わっていなくても、為替だけでガソリン価格が上昇することもあるのです。
最近の上昇要因3:補助金の縮小
さらに最近は、政府によるガソリン補助金の縮小も影響しています。
これまで価格高騰を抑えるために出されていた補助金が段階的に見直され、小売価格に隠れていた上昇分が表面に出てきました。
一時期は全国平均が大きく下がりましたが、ここに原油高や円安が重なり、再び上昇傾向となっています。
つまり現在の値上がりは、
・中東情勢の緊張(原油高)
・円安(輸入コスト増)
・補助金縮小(価格抑制の解除)
といった複数の要因が重なって起きているのです。
忘れてはいけない「税金」の構造
しかし、ガソリン価格にはもうひとつ重要な要素があります。
それが税金です。
ガソリン1リットルには、揮発油税や地方揮発油税など複数の税金が含まれており、さらに石油関連の税金が上乗せされます。その合計に消費税がかかるため、いわば「税の上に税」がかかる構造になっています。
よく話題になる「暫定税率」は、もともと道路整備のために一時的に上乗せされたものですが、長年にわたり継続されてきました。
近年は見直しも進んでいますが、それでも1リットルあたりに占める税金の割合は依然として大きいままです。
そのため、原油価格が下がったとしても、ガソリン価格が劇的に下がりにくいのです。
ガソリン高が引き起こす連鎖
さらに、ガソリンは単なる車の燃料ではありません。
トラック、船、農業機械、配送網など、あらゆる物流と生産を支えています。
燃料費が上がると運送コストが増え、食料品や日用品、送料などがじわじわと上昇します。
結果として、生活全体の物価に影響が広がっていきます。
「ガソリンが高い」という実感は、物価上昇の入り口でもあるのです。
遠い国の出来事は、テレビの向こうの話のように感じるかもしれません。
けれど、その影響は確実に私たちの暮らしへ届いています。
ニュースでの中東情勢や為替の変動が、数日から数週間後には給油価格として目の前に現れることもあります。
ガソリンの値段は、日本だけで決まっているわけではありません。
遠い国の政治や戦争、為替の動きまで影響しています。
だから私たちが感じる値上がりは、実は世界のニュースとつながっています。
給油のたびにため息が出ることもありますが、その背景には海の向こうの出来事があるのです。
「なんでこんなに高いの?」
そう思ったとき、ニュースを少しだけ思い出してみてください。
ガソリン価格は、世界と私たちの暮らしがつながっていることを教えてくれているのかもしれません。
