完全オンライン総会実現に向けた議論が活発になっています。当社のグループ企業であるコインチェックも、「バーチャル株主総会を滞りなく実現させるクラウドサービス」としてのSharely(シェアリー)の提供を始めており、このテーマは私たちにとっては真ん中で、この流れは私たちにとっていい流れです。然しながら、私は議論の軸が、ちょっとずれているのではないかと感じています。

 

 確かにオンライン総会は株主にとって参加しやすくて便利ですし、特に新型コロナウイルスの状況下ではとてもニーズが高いと思います。しかしオンライン総会の実現が即ち株主総会の様々な課題を解決出来ると云うことは決してありません。欧米に比べて日本は総会のオンライン化が遅れている、それを直すべきだと云いますが、日本の総会の問題点はそこではありません。

 

 アメリカでは、総会の前に、いや総会が終わるとすぐに、一年中株主と企業の間の対話が持たれます。そうして様々な課題について議論され、時に方針の修正なども行われ、総会が来る時には既に十二分の対話が企業と株主の間で行われ、総会自体は案外儀式的なものでしかないのです。ウォーレン・バフェットのバークシャーハサウェイとかディズニーとか、例外的にお祭りのような規模の総会を開く企業もありますが、アメリカの大体の上場企業の株主総会には、ほとんど株主は出席しません。私はグローバルな巨大企業である米マスターカードの社外取締役をしているので、現場を見ているので偽りはありません。

 

 日本の企業が取り組むべきは、総会のオンライン化だけではなく、総会以外の51週間の株主との対話なのです。オンライン総会は、企業の経済的負担を下げます。しかし同時に対話する負荷を下げては決していけません。むしろオンライン化で経済的負担が減る分、一年を通しての株主との対話を、もっともっと増やすべきです。総会だけをオンライン化するのではなく、株主との対話をオンライン化し、一年中対話をしやすくし、その中で総会もオンライン化する。そのような方向に議論すべきです。政府にも意見したいと思います!