スペシャルティコーヒーのハンドピック(Hand sorting)
(スペシャルティコーヒーにおける、除去すべきDefect欠点豆とは)
生豆Green Coffeeの外面的評価・各論
1-6虫喰い豆Insect Damage
虫食い豆とは、コーヒーを食べる害虫により、小さな穴が開いた豆です。
未熟豆にコーヒーベリーボーラー(Coffee Berry Borer甲虫です。)という特定の虫が侵入した生豆のみが虫食い豆に該当します。
したがって、コーヒーベリーボーラー以外の虫が侵入したものは該当しません。
コーヒーベリーボーラーは、コーヒーの実が赤く熟す頃に、実に小さな穴をあけて侵入し、卵を産み付けます。
幼虫は果実を食べて成長し、豆の表面に黒々とした虫食い状の染みを残します。
虫喰い豆があるということは、殺虫剤を使用していない証拠であり、その点では好ましいともいえますが、焙煎コーヒーの外観に影響するとともに、カップの風味への影響として、酸っぱさ、汚れ・泥臭さ、カビ臭、薬品臭、リオ臭の原因となります。
また、コーヒー液の濁り・汚れの原因となります。
特に、高品質豆の中に含まれていた場合は、重大な欠点風味が生じます。
なお、SCAの基準では、コーヒーベリーボーラーが喰べた跡に、カビが生えた生豆は、虫喰い豆と判定します。
SCAの基準では、虫食いの程度の差により、表面の穴が3箇所以上あるものが、重度の虫喰い豆Severe Insect Damageと判定され、検体350グラムあたり、5個までならSCAが定めるスペシャルティコーヒーとして許容されます。
2箇所以上あるものが軽度の虫喰い豆Slight Insect Damageと判定され、検体350グラムあたり、10個までならSCAが定めるスペシャルティコーヒーとして許容されます。
裏を返せば、スペシャルティコーヒーの生豆でさえ、350グラムあたり、5個又は10個まで、また、1か所の虫食いまでなら虫喰い豆という、風味に悪影響を及ぼす、除去すべきDefect欠点豆が含まれている可能性があるということですので、ハンドピック(Hand sorting)は欠かせません。
なお、虫喰い豆は、1個を5分の1個又は10分の1個とカウントし、他の欠点豆との総和が1個を超えれば、スペシャルティコーヒーとは格付けされません。
スペシャルティコーヒーの、ハンドピックでは、重度の虫喰い豆は、あまり、お目にかかることはありませんが、軽度の虫喰い豆は、混入していることがありますので、当店は必ず除去しています。
※参考文献は、2020年時点の、SCAが発行した「The Washed Arabica Green Coffee Defect Guide」です。
それを中心に、私の私見、経験を織り交ぜ補足しています。
また、文中の解釈については、私見とさせていただきます。解釈誤りがあれば何卒ご容赦ください。ご指導をお待ちしています。
第11回は、
生豆Green Coffeeの外面的評価・各論
1-7割れ豆、先端の欠け豆、小片豆Broken/Chipped/Cutです。
お楽しみに。