悪人
監督:李相日
原作:吉田修一
出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、ほか
公開年:2010
母に捨てられ、長崎の漁村で祖父母と暮らし、仕事と介護で一日を終える祐一。
佐賀で妹と二人暮らし、職場と家を往復する日々を送る光代。
二人は、心通じ合えるだれかと出会いたい、そう心から願っていた。
ある日祐一は、出会い系サイトで知り合った博多に住む佳乃と会う約束をしていたが、目の前で別の男(大学生の増尾)の車に乗り込んでしまう。
馬鹿にされたと思った祐一は車を尾行し、態度等に腹を立てた増尾によって置き去りにされた佳乃を見つけて助けようとする。
が、つけられたことに腹を立てた佳乃に罵倒され、首を絞めて殺してしまう。
途方に暮れていた祐一のところへ何も知らない光代から連絡があり、二度めに会ったときから心を通わせる。
一度は自首しようとした祐一を光代が引き留め一緒に逃亡する。
二人は灯台に身を隠し生活するが、警察の追っ手が迫る。
追い詰められた祐一は、光代の首を締めようとする。恐らく彼女の今後を憂いて。
一方、佳乃の父親は、増尾を追って、物申す。
なぜ置き去りにした!大切な人がいない人間が多すぎる!と。
彼に響いたかどうかは不明だが。
祐一が捕まったあと、光代は佳乃が亡くなった現場に花をたむけようとするが、佳乃の父に遭遇し、思いとどまる。
佳乃に出会う前に、祐一と光代を会わせたかった。
あの夜、増尾の車が通り掛からなければ。
恐らく祐一には一人の殺人と一人の殺人未遂の罪がかけられてしまうだろう。
置き去りにした増尾には罪はないのだろうか。
佳乃にも非はあるだろう。
殺人犯の祐一は世間では悪人だが、光代にはかけがえのない人。もちろん殺してしまった
何が悪なのか。考え、切なくなる、面白い作品だった。
おばあちゃん役の樹木希林の演技が光る。