「Love Step」(344) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

クリスマス・イブの前日、パリにいる琴美から大きな小包が届いた。



中身はアプリコット色の膝丈のドレスだった。



上質なハリと光沢感のあるサテン素材にミニになりすぎないふんわりとしたスカート、ウエストには同じ素材の大きなリボンはキュートで杏梨に似合いそうだった。



フリルが可愛い黒のボレロも入っていた。




「すごく可愛い~」



胸にアプリコット色のドレスをあてがってみる。



その時、パサッとカードが落ちた。



「カード・・・・・・」



きれいな雪景色のクリスマスカード。



真っ白なおひげのサンタさんがプレゼントの入った大きな袋を肩から下げている。




【メリークリスマス 杏梨ちゃん   クリスマスディナーに間に合うと良いのだけれど   琴美】



「琴美さん・・・・・・」



琴美の気持ちに杏梨は瞳を潤ませた。



「琴美さんを大切にしてくれる人が見つかれば良いな」



呟いてからもう一度愛らしいドレスを見る。



「はぁーーーー」



そのため息の意味は・・・・・・



ドレスは飛び上がるほど嬉しかったけれど、クリスマスディナーに雪哉から誘われていない。



「ゆきちゃん忙しくてたぶん無理なんだよね・・・・・・」



カードを持った杏梨からもう一度「はぁ~」とため息が漏れた。



仕事が変わり、ずっと忙しい雪哉はいつも杏梨が寝てから帰ってくる。



土・日も休日も返上して仕事をしているから杏梨はつまらない。




忙しいからといってほったらかされているわけではない。



ちゃんと一日何回か電話をくれるし気遣ってもくれるから見守るしかない。




「明日帰ってくるんだよね 何時頃だろう・・・・・・」



一昨日から神戸へ出張している。



まだ明日の帰宅時刻も知らされていない。



それでも明日は一緒にケーキだけでも食べたくてスポンジケーキを焼いているところだ。



部屋は甘い香りで充満している。



テーブルの上にはきれいにラッピングされた細長い箱が置かれている。



雪哉に渡すクリスマスプレゼントのネクタイ。



ありきたりだけれど、毎日ビジネススーツを着て出勤するのでネクタイはちょうど良いプレゼントに思えた。



他にもプレゼントの箱はある。



香澄とゆずる一家の分も杏梨は真心こめてラッピングしたのだった。



もう寝ようかと思った頃、雪哉から電話が入った。



「ゆきちゃん」



電話に出ると聞こえてくるのはがやがやとした人の声。



『杏梨、遅くなってすまないね 何をしていた?』



「もう少ししたら寝ようかなって、 なんだか賑やかな所にいるね?」



『あぁ パーティーに出席している かなり離れたのにまだ聞こえる?』



「うん あまり飲みすぎないでね?」



杏梨の心配そうな声に雪哉は携帯電話を耳に当てながら微笑んだ。



『杏梨、明日19時に朝倉ホテルのロビーで待ち合わせしよう ドレスアップも忘れずにね』



「えっ?」



あ、朝倉ホテル?ってあの老舗の最高級ホテルだよ?



『明日はイブだろう?忘れていた?』



「う、ううん 忘れていない びっくりしたの」



『恋人らしくホテルで夕食をとろう』



「うん」



そういえば恋人同士になってからの初めてのクリスマスだった。



電話が切れた後・・・・・・



「やったー♪ゆきちゃんとクリスマスディナーだぁ~♪」



ドレスをギュッと胸に抱いた杏梨は飛び上がりたいほどだった。




続く



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