「Love Step」(111) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

雪哉と彩の写真に動揺して峻との約束を忘れてしまっていた。

アルバイトの終了時間になるとスタッフよりも先に店を出る。

「おい!無視するなよ」

店を出て大通りに向かっていると後ろからぶっきらぼうな声がした。

店の前で峻は杏梨を待っていたのにそのまま素通りされて苛立つと同時に自信がなくなる。

追いかけて背後から声をかけたのだ。

「あ・・・」

振り向いた杏梨は峻との約束を思い出した。

「ごめん・・・忘れてた・・・」


忘れたぁ?


杏梨の言葉にガクッとくる。

それでも申し訳なさそうな杏梨の顔に峻は表情を和らげた。

「どうしたんだよ?いつもの元気がないな?」

「峻くんはいつも元気だね」


嫌味ではなく本当にそう思う。
爽やか系でイケメン なぜわたしと付き合いたいのか分からない。


「お前と会っているからだよ」

「なに言ってんのっ?殺し文句は他の女の子に言ってね」

峻の顔を大きな目で睨みつける。

峻の甘い言葉は杏梨には通用しないらしい。

峻は片手を頭に置き、重いため息を吐いた。

「そんなに俺と会うの嫌?」

「・・・分からない」


友達としてならば楽しい相手だと思う。


「分からないって・・・」

「さっき、ちょっとショックな事があっただけだから」

「・・・OK 何か食いに行こうぜ」

話を切り上げたそうな杏梨を察して話を変えた。

バッグを持っていない方の杏梨の手を握ると歩き始めた。

「なに食いたい?」

「ラーメン」

「はぁ?」

峻が立ち止る。

「お前、俺たちの初デートにラーメン屋だって?」

峻の考えていた食べ物とは程遠い物を言われてむきになる。

「だって食べたい物を言えって言ったじゃん それにデートじゃないもん!」

「一緒に出かけているんだからデートだろ?」

「違うっ!友達同士っ!」

峻は肩をすくめた。

「わかったよ ラーメン屋な」

男友達と行った事のある有名ラーメン店を思い出した。

「うん」

行き先がラーメン店に決まり杏梨はうれしそうな顔になる。


げんきんな奴。


「どこでもいいのか?」

「うん」

「じゃあ、3つ先の駅まで行こう 美味しいラーメン屋知ってるんだ」

今日は車に乗ってこなかった。

電車で移動した方が杏梨とたくさん話せると思ったからだ。

それに都心で駐車場を見つけるのがめんどくさかった。


続く


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