「Love Step」(41) | HAPPY DAY

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香澄ちゃんに聞いて良かった♪

などと思っているとカバンの中の携帯電話が鳴った。

「杏梨、携帯が鳴ってるよ?」

先に気づいた香澄が言う。

急いでカバンの中から携帯電話を取り出すとゆきちゃんの文字。

「いけないっ!」

待ち合わせの時間を10分も過ぎていた。

やばいっ!わざわざ仕事を抜け出して来てくれたのに。

「ゆきちゃん、ごめんね すぐに行くからっ」

『急いで転ぶなよ?』

のんびりとしたゆきちゃんの声が聞こえた。

「香澄ちゃん、ありがとう また明日ねっ」

杏梨はカバンを手にすると急いで教室を出た。


* * * * * *


雪哉にマンションまで送ってもらった杏梨はカバンを置くと近くのスーパーへ行った。

目的は自宅で出来るパーマセット。

夕食の材料と目的のものを買うと足早にマンションへ戻った。

夕食を作るにはまだ早い。

「よしっ!やっちゃおう!」

箱を開けて中身を取り出し説明書を読んでいく。



* * * * * *


慎重に説明書を読んでやったはずなのに・・・。

鏡に映る自分を見て泣きたくなった。

「どうしよう・・・」

泣きたくなったのではなく泣いていた。

ふんわりパーマになるはずだったのにクルクルと思いもよらない髪型になってしまった。

すぐに髪を何度も何度も洗ったがまったく変わらない。


* * * * * *


「ただいま」

雪哉が玄関を入ると真っ暗だ。

「杏梨?」

疲れて眠っているのか?それとも出かけている?

いや、夜に出かけられる杏梨じゃないしな。

雪哉は杏梨の部屋の隙間から明かりが漏れているのを見て近づいた。

「杏梨?」

部屋をノックした。

その途端、バタバタと物音がして何かあったのかと雪哉はとっさに部屋を開けた。

「入るぞ!」

「だめーっ!入ってこないでーっ!」

バタバタと物音がしたのは杏梨が急いでベッドに行き布団を被ったせいだ。

「どうしたんだ?」

布団にもぐって顔を見せない杏梨に怪訝そうな顔になる。

「だめ、ゆきちゃん 向こうへ行って・・・・」

「杏梨!何かあったのか?顔をみせてくれ」

顔を見るまでは心配だ。

「何もないっ!部屋から出て行って!」

「杏梨!」

もどかしさで呼ぶ声が大きくなった。


続く

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