「Love Step」(35) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

「杏梨、何を言っているんだ」

雪哉は立ち上がると杏梨の隣に座り肩をそっと抱き寄せた。


肩を抱かれても嫌な感じはしない。

むしろその行為が嬉しいと思っている・・・。


「今日の事はゆきちゃんのせいじゃないのに・・・」

「いや、俺のせいだよ 俺がちゃんと起きて送ってあげていれば危険な目に合わずに済んだのに 杏梨の気持ちを考えずに責めてしまった俺の方が謝らなければいけない」

「ゆきちゃん・・・」

「目覚まし時計をかけてくれてありがとう」

柔らかい髪をゆっくり撫でる。

杏梨に触れるのはすごく気を使う。

今は拒絶されなくて良かったと安堵していた。

「少し落ち着いた?」

杏梨はコクッと頷いた。

「彼は心配して声をかけたんだ」

「・・・うん わかってる」

だけどあまりにも不意打ちで驚いてしまったのだ。

一瞬でパニック状態になって叫んでしまっていた。

「驚かせちゃったよね・・・」

わたしの事を知らないのだから頭がおかしいと思われても仕方がない。

「大丈夫さ 彩も杏梨の事が気になって店に来たんだ」

「そうなんだ・・・」

きれいで優しくて・・・完璧な女性。

2人が並んで歩いているのをガラス越しに見て嫉妬してしまった。

美男美女の似合いすぎるほどの2人だった。

再び沈み込んでしまった杏梨を見て雪哉は心配になる。

「頭が痛む?それとも足?それとも眩暈?」

雪哉の矢継ぎ早の質問に杏梨は一瞬呆気にとられてから笑い声をたてた。

「ゆきちゃん、よくそんなに言葉が出てくるね?」

あまりにも心配そうな顔があって杏梨はソファーから落ちそうなほど笑い転げた。

「ゆきちゃん、お腹すいちゃった ピザが食べたいな」

ひとしきり笑うとお腹が小さく「くぅ~」と鳴った。

「杏梨が食べたいものでいいよ じゃあ、いつものでいいかい?」

近所の本格的な窯があるピザ屋さん。

「うん♪」

雪哉は杏梨の希望通りピザを注文した。


続く

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