「Love Step」(34) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

好きな雪哉が彼女を車に連れて行く姿を見て彩は嫉妬してしまう。

彩のきれいな顔が歪む。

「姉貴、行こう あのガキンチョは変だよ」

姉が可哀想になった。

そうだ、あのガキンチョは頭がおかしいんだ。

なんで俺が声をかけただけで気が狂ったような反応をするのか。

「峻くん・・・」

姉の肩に手を置くと車へ促した。



杏梨を助手席に座らせると触れないようにシートベルトをつけようとした。

「大丈夫っ・・・自分で・・出来る」

震える手でシートベルトを装着するのを雪哉は見守ってからドアを閉め運転席に回った。

運転席に座り車を出しても雪哉は口を開かなかった。

今の杏梨の精神状態は不安定で落ち着くまで声をかけない方が良い。

声はかけないが杏梨の様子は気になり運転をしながら横目で伺う。

杏梨は目を瞑って両手を膝の上でギュッと握り締めていた。



マンションの地下駐車場へ車を停めると杏梨は目を開けて自分でシートベルトを外し車から降りた。

足を引きずっていて痛々しい。

抱いて部屋まで連れて行きたいがそれは無理なことだった。


部屋に入ると杏梨は両腕で身体を抱きしめるようにしてリビングのソファーに座った。

心配げに見てから雪哉はキッチンに行き、杏梨の為にカフェオレを作った。


コトッ

ピンク色のカフェオレボウルが杏梨の目の前に置かれた。

置かれた事に気づいた杏梨はハッと顔をあげて雪哉を見る。

その表情はさきほどよりも落ち着いて見える。

「店まで来たのは何か急用でもあったのかい?」

雪哉は対面に座ると聞いた。

「あ、謝らなくちゃって・・・」

「謝るって何を謝るんだい?」

杏梨の言っている事が分からず眉根を寄せて聞く。

「あたしが・・・自分勝手だったから・・・」

そう言うと雪哉を見る目が潤み始めた。


続く

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