気分は悪くないが酷く擦りむいた足が痛む。
身体もこわばってしまって動かすと痛い。
「いたたたた・・・」
ベッドから降りてリビングに行こうと身体を無理矢理動かす。
水道の蛇口をひねって水をコップに注ぐ。
ゴクゴク・・・
渇いていた喉が潤い一気飲みをしてしまう。
ゆきちゃん、まだかな・・・?
リビングのテレビ横の時計を見ると時刻は4時を回った所。
予約の人が終わったら帰ってきてくれるって言ってたよね。
責める言い方をしちゃって悪かったな・・・。
ゆきちゃんは大人で大人の付き合いもあるのに・・・。
連絡もくれなかったから自分が無視されたようでショックだった。
でもあんな言い方したらだめだよね。
そう考えると重いため息が出た。
考えれば考えるほど自分が悪くてすぐにでも謝りたくなった。
そうだ!ゆきちゃんを迎えに行こう♪
ゆっくり歩けば足を引きずらなくて済むし、帰りはゆきちゃんの車に乗って帰ってくれば良い。
わたしはコートを手にするとゆきちゃんのお店に向かった。
* * * * * *
峻は店の駐車場に車を停めて姉の彩を待っていた。
峻から聞いた彩はどうしても雪哉に謝りたいと言ったからだ。
これほどまでに雪哉さんに夢中とはな・・・。
運転席を少し倒して目を閉じていた。
何度か俺も雪哉さんと姉貴と一緒に食事をした事があるけど、雪哉さんの態度は友達以上のものには見えなかった。
いつも冷静に見える雪哉さん、だけど今日は違っていた。
あのガキンチョに対する態度はもろ独占欲が伺えた。
あのガキンチョは雪哉さんのなんなんだ?
まさか・・・恋人同士?
いやいや・・・男の子と言っても通じるあのガキンチョが雪哉さんの恋人であるわけがない。
峻はなんとなく水溜りを跳ねてケガをさせてしまった杏梨が気になった。
俺の周りにはいないタイプだな・・・。
髪を男の子みたいに短くし、着ている服もまったくセンスなし。
なのに顔は女の子そのものでむしろ可愛すぎる顔だった。
一流カリスマ美容師の雪哉さんの側にいるのなら髪型や服装に気を使うだろうに・・・。
峻はいくら考えても納得がいかなかった。
なんか気になる・・・あのガキンチョ。
倒していた運転席を起こしふと窓の外を見ると考えていたガキンチョが足を軽く引きずりながら歩いてくるのが見えた。
「あのガキンチョじゃないか!」
峻は思わず叫んで乱暴に車を降りた。
続く