443.秘境駅の旅

　ケーブルテレビの旅チャンネルのひとつに、「秘境駅の旅」という番組がある。私は取り立てて旅好きでも鉄道好きでもないが、素朴な語り手とシンプルな映像が気に入っている。

　例えば「かつて炭鉱のあった駅は最盛期、日に数百人の乗降客があった。しかし、今は日に10人に満たない無人駅」といった具合である。

　若かりし頃、一人で北海道を旅行した時、ローカル線の駅で何時間か待つことがあった。やることがなく付近を散策したが、寺社どころか民家も見当たらない。肩に赤とんぼが止まる。もしかしたらクマに出会うかもしれない・・・。ただそれだけなのになぜか忘れられない記憶になっている。

　その路線はもう廃止になっているが、たまたま佇んだ駅が番組で取り上げられた回は、柄にもなくノスタルジックな気分になった。

　人と話題が合うよう録画番組を早回しにして観る。それが人間らしい生活かと疑問に思う。人気のない駅をただじっと映しているだけなのに、この番組は私にいろいろなことを考えさせてくれる。

- YouTube