間もなく節分、店先には恵方巻きが並ぶ。この風習、昔はなかった。
それもそのはずで「恵方巻き」の名称での歴史は、大手コンビニが1989年に広島県の一部で、この名前を付けて売ったことに端を発す。
恵方巻きにも定義があって具材は7種類。これは七福神に因む。その太巻きを切らずに、節分の日に恵方を向いて無言で食べることになっている。
恵方巻きが世に広がり始めた頃、「バカバカしい」と笑っていた人が多かった。私もその一人だし、今も内心はそう思っている。
しかし、世の中の風習はすべからく後々の時代が作り上げたもの。例えば神社仏閣での作法や、お節料理の盛り付けやルールなども、その時々の工夫のもとに今に至っているはず。
この理屈で行けば、浸透する過程でスタイルを形成してきたとしても、殊更批判を受ける理由はない。ただし、便乗商売でやり過ぎるのは辟易するが。
理屈はともかく、恵方巻きのお陰で夕飯の用意が少しでも軽減できるなら、それはそれで笑顔で手打ち。家族団欒に一役買うと思う。