前回は支持基底面(base of support:以下 BOS重心についてお話ししました。

この二つのキーワードが理解すると、たいていの運動というものを理解できるようになります。

Fig9-1の図1のように重心からの垂線がBOSと交わる点を圧中心点と言います。この点がBOSの中央にある時が、もっとも省エネでその姿勢を維持できます。図2のように圧中心点がBOSから外れ転びそうになると、そのベクトルとは逆の方向の筋肉が働き転倒を予防しようとします。また図3のように自ら脚を動かして新しいBOSを得る方法もあります。これが連続すると歩く(この絵では後ろずさり)という運動になります。

人間の重心線はfig9-2のように足の土ふまずあたり(足の前2/3)に落ちますので、人間は後ろへバランスを取ることが苦手です。

 

 座位のBOSと重心を同じように考えてみましょう。

 

 fig9-3のようにBOSはつま先から坐骨(座った時に飛び出る骨)までなので、立位に比べたら圧倒的に広いですね。座位の重心はみぞおちよりやや下になり、立位の時(へその下:丹田)よりもやや高くなります。BOSが広くなったため、立位よりも座位のほうが安楽な印象を持ちます。しかし座位における圧中心点は、限りなくBOSの際に落ちています。更に重心は高くなっているので、容易にBOSから外れます。つまり座位は立位に比べて、重力の餌食(重力の影響を受け)やすい姿勢だと分かります。座位バランスを取ろうとすると、腹筋などの身体前面の筋肉を緊張させる必要があります。姿勢良く座るというのは、とっても疲れるのです。

また来週木曜日にお会いしましょう。

 

 

令和元年7月18日 ももはクリニック石坂 串田 英之