さようなら!


さようなら〜!



さ、SAKURAさん、

あそこが出入り口に通じる坂道だ。


急ぎましょう!



2人は手を取り合って

出入り口に通じる坂道を

駆け上った。

背後からは、激しく斬り合う

合戦の様子が伝わって来る。


春馬さん、

皆さんは大丈夫でしょうか?


SAKURAさん、

心配は分かるけど駄目ですよ。

絶対に振り返っちゃ!


は、はい!

その時、後ろからヒタヒタと

追いかけてくる複数の足音が

聞こえた。


春馬さん!

何か来ました!


邪神と言われているものに

違いない。


SAKURAさん、

手に持っている忘れな草を

目を瞑って後ろに投げるんです。


は、はい!


SAKURAは、田鶴に貰った

忘れな草を何本か投げた。

するとたちまち後ろで、、


あらあら、

そんなにお急ぎにならないで。


そんな田鶴の艶っぽい声が

聞こえて来て、追いかけて来た

足音が止まった。


SAKURAさん、今のうちだ!

急ぎましょう!


はい!

2人は更に急いだ。

ところが、

まだ幾らも行かないうちに

再び追っ手の足音が聞こえて来た。


春馬さん!

今度は、はるちゃんがくれた柿を!


そうですね。

ほら!


春馬は、振り向かずに

背後に柿を数個投げた。

直ぐに、柿を貪る音がして

足音が止まった。


さ!行きましょう!

しかし、直ぐにまた

追っ手の足音が。


その度に、忘れな草や柿を投げ

時間を稼いだ2人。



遂に出入り口まで、

あと数歩と言う所まで

辿り着いた。


春馬さん、もう忘れな草が

有りません。


はるちゃんのくれた柿も

無くなった。


だけど、もう大丈夫です。

追っ手の足音ももうしない。

僕らは助かったんです!

その時だった。

春馬の首根っこを生臭い手が

掴んだ。


うわぁ!


春馬さん!


SAKURAさん、

絶対に見ちゃ駄目だ!


良いですか!

貴女はこのまま脱出するんです。


そんな!春馬さんは?


僕はもう駄目です。

早く、早く行って下さい!


私だけ脱出してどうしろと?


残りの人生、

失った春馬さんの事を偲んで

生きて行けと?


あの時、私が言った事を

思い出して下さい。


あの時?


春馬さんが黄泉の国へ行くのを

反対した時です。

その回想〜20話より

春馬さんは、

黄泉の国に行くのは

危険だと仰いましたね。

生きて帰れないかもしれないと。



だけど、

春馬さんを好きでも結ばれない。

結ばれたら動物になるしかない

としたら、、



この境遇自体が私にとっては

既に死んでいる

のと同じなんです! 

〜〜〜〜〜

私にとって、

春馬さんと結ばれないのは

死んだも同じ。


春馬さん!

SAKURAは叫んだ。


春馬さんの居ない人生なんか

私にとっては

死んだも同じなんです


だったら、

怖いものは何も無いわ!


春馬さん!

戦いましょう!


此処で戦って戦って、

私達一緒に堂々と

黄泉の国の皆さんの所へ

戻りましょうよ!


SAKURAさん!


待って下さい。

ポケットに少しでも

何か武器になりそうな物が

入っていないかしら?


あ、これは、、


SAKURAは、ポケットの中から

萎れた忘れな草を数本取り出した。


これは、山で迷った時に見た

忘れな草、、


この季節には珍しいと思って

摘んでポケットに入れてたんだわ。


春馬さん!

掴まれてもまだ邪神を

見ていないですよね?


見ていません!


だったら、そのまま見ないで。


私が今から目を瞑って投げる

忘れな草に邪神が気を取られたら

出口に向かって走りましょう。


忘れな草?

まだ有ったんですか?


はい!

その話は後で!


ほら!

忘れな草よ


SAKURAは、忘れな草を

背後に投げた。

たちまち春馬を掴んでいた

邪神の手は離れ、、


オホホ、、

さぁ、こちらへ参りましょう。

忘れな草による田鶴の化身が

艶やかな声で邪神を誘った。


春馬さん!

今です!


2人は出入り口から

地上に飛び出し、

春馬は直ぐに出入り口を消した。


春馬さん!

私達助かったんですね!


SAKURAさん、ありがとう!

貴女は命の恩人だ。


そして、僕の最愛の人

呼ばせて下さい。


2人は固く抱き合った。


次回は最終回✨


本日18時に更新します🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏