自分の法力で、その魔性の女を

捕まえてやろうと血気盛んに

山へ向かった訳です。


山に向かい、
山中を闇雲に歩き回る僕の前に
山中には不似合いな
立派なお屋敷が現れました。


きっとここが魔性の棲家だ!

僕は腹を括ってその屋敷の

玄関を開けて、、


ごめんください!

どなたかいらっしゃいませんか?


はぁい。

あら?

お坊様が何の御用です?

これまた山中には不似合いな

美しい女が出て来ました。


僕は動揺を隠しながら、、


ああ、これは失礼しました。

僕は旅の僧。


今夜の宿を探しております。

何処か片隅にでも

泊めていただけませんか?


それはお困りですわね。


片隅だなんて、、

ちゃんとお食事やお床を

準備いたします。


それは余りにも厚かましい。

修行中でもありますので、

過度なおもてなしは

必要ありません。


そんな事をおっしゃらないで。

私の心尽くしのもてなしを

どうか受けて下さい。

女の柔らかな微笑みを見た途端

魔性の女だ!

法力で成敗してやる!

と息巻いていた自分は

あっという間に何処へ消え去り、、


ありがとうございます。

それではお言葉に甘えまして、、


まぁ!嬉しい!

さぁどうぞお上がりになって。

〜〜〜〜〜

ええっ、そんな!

いきなりもう

魔性の女に魅せられたなんて!

大変じゃないですか!


ええ、貴女のご想像通り

大変な事になりました。

〜〜〜〜〜

その女が用意してくれた

食事をしながら、、


勧められて修行の禁を犯し

酒を酌み交わす頃には、

若かった僕は、完全にその女の

虜になっていました。


僕は貴女が好きです。


貴女のような美しい方が

どうしてこのような寂しい山中に

1人でお住まいなのですか?


寂しい山中に、、

ええ、その通りですわ。

ですが何故と聞かれても

訳あってとしか申せません。


この様な寂しい場所に貴女1人。

貴女をお慰め出来るのなら

僕は何でも致しましょう。


それでは、

私を抱きしめて下さい。


貴女を抱きしめる?

私は僧侶です。

女人を抱きしめるなど

御法度も甚だしい。


では、先ほどのお言葉は

嘘だったのですか?


貴女をお慰め出来るのなら

僕は何でも致しましょう

言って下さったお言葉は。


女人禁制。

貴方は僧侶ですもの。

それは当然の事でしたわね。


ですが理由があるとはいえ、、

こうして1人寂しい暮らしを

続けておりますと、

人肌の温かさが恋しくなって、、


つい、おかしな事を申し上げて

本当にすみませんでした。


次の瞬間、僕は女に駆け寄り、

彼女をこの胸に

抱きしめていました。

〜〜〜〜〜

え〜っ!


それからどうなったんですか?

まさか、、ですよね?


いえ、そのまさかの事態

なりました。

いえ、なってしまいました。


そのまさかの事態の様子も

詳しくお聞きになりたいですか?


はい。

差し支えなければ是非!


ええっ!

本気で仰っているんですか?

貴女は大胆な方なんですね。


いえ、好奇心が強いだけです。

だって相手はどう考えたって

妖の女ですよね?


そんな女を相手に、

いかにも経験の浅そうな

年若い修行僧だった貴方が

よくご無事だったなと思って。


ご無事、、そうですね。


まぁ、確かに。

だから今、僕は此処にいる事が

出来ている訳ですからね。


それでは、

続きをお話し致します。

〜〜〜〜〜

胸に女を抱きしめた僕は

ゾッとしました。


それは体温と言うものが、

まるで感じられなかったからです。

女は僕の様子に気がついた

ようで、自分から身体を離すと


山の冷気ですっかり身体が

冷えてしまいました。


今から湯に入ろうと思います。

貴方もご一緒に如何ですか?


いえ、そんな。

女人と一緒に風呂などと、、


ウフフ。

冗談ですよ。


それでは、風呂場へ参ります。

貴方はこちらでごゆるりと。


あ、その、、

風呂の準備はどなたが?

確か此処には

貴女お1人なんですよね?


ああ、それは、、

この辺りは温泉が湧き出ていて

この屋敷にも

温泉を引いてございます。


だから、いつでも

湯に浸かる事が出来ますの。


そうでしたか。

余計な事をお尋ねしました。


あ、お坊様、、

まさかとは思いますが、

覗いたりなさらないで下さいね。


覗く?風呂場を?

滅相もない。


私は御仏に使える身。

そのような事は、、


御仏に使える貴方様に

無理に酒を勧めてしまいました

ので、、


お酔いになって、

女の肌の1つも見てやろうと

出来心を起こされてはと

思いまして。


いらぬ心配を致しました。

それでは、、


女の言った通りだった。

酒にほてった僕は、

今すぐ女について行きたい。

そして風呂場で戯れたい。

〜〜〜〜〜

あの時の僕は、

そんなやましい気持ちで

いっぱいだったんです。

次回も引き続きお楽しみ下さい🌸🐎


内容は全てフィクションです。


画像と動画をお借りしました🙏