精神医療なんぞ「医療」ではない、と言い続けてきました。
実際、「医療」から程遠い「治療」を平気で行っているケースがいまだたくさんあります。
どの症状の患者さんも、その医師が専門としている「心の病気」にされてしまう傾向があります。双極性障害が専門の先生なら、たとえ不眠で受診しても双極性障害になります。
ほとんどこじつけのような診断理由で(素人の私が聞いても噴き出してしまいそう)診断されて、診断されるだけならまだしもそこには絶対にその病気を「治す」とされる薬がついてきます。
また、ご自分が使う向精神薬の副作用をほとんどご存知なく(効果だけを信じている、あるいは、病名と薬が頭の中でイコールでつながっているから単にそれを処方する)、飲んだ患者が副作用を訴えると病気の症状だと言い張り、さらに薬の量と種類が増える。そういうケースがいまだにたくさんあります。
ベンゾについても知識があまりに少なく、離脱症状など、詳細を知る医師はほとんどいません。「離脱症状」という言葉を知っていれば上等なほうで、たとえ知っていても、目の前の患者の症状は離脱症状ではなく病気の症状であると考える医師が多いのもいまだ現実。
でも、最近少し考えるようになりました。
万年野党のごとく、端っこのほうで文句ばっかり言っているだけでは何の役にも立たないんじゃないのか、と。自民党のやっていることを見ていると、現行の精神医療の状況が重なって見えてきます。裏金だのやっていることはいい加減この上ないが、かといって野党があまりにだらしがない。(裏金の問題はちょっと自民党には危機のようですが、私はそれで自民党が生まれ変わるなんてとてもとても信じらんないです。) 野党の主張にまったく魅力がないんです。単に与党の瑕疵を見つけてはそこをつっついて騒いでいるだけ。
え~、でも、これって、まさに私がやってきたことじゃね? 絶対に勝てない相手。現行の精神医療。
代案もないのに、批判するな、とは、以前からよく言われてきた言葉です。要は文句ばっかり言ってんじゃない。薬を否定するなら、じゃ、この発達障害の症状、どうすればいいんだと。
が、この世界、AがダメならBがある、といったような単純な話ではないのも事実(と思ってきました)。それにそれに、注意喚起の意義もある。簡単に精神科にかかるなよ、と。
でも、やっぱり万年野党の悲哀はあります。
なら、どうする?
偉い先生にすり寄って、現行の精神医療に乗っかってしまえば楽じゃんか、と考えたこともありました。
日和るのか? 私。
でも、それって、魂を売るに等しい。
でも、でも、でも、
現行の精神医療にだって、いろいろいいところはあるはずだし、頑張っている先生もいるはずだから、あら捜しをするのではなく、いい面を見つけて、育てていくしかないんじゃないか。
そんなことを考えていたら、元読売新聞の記者だった佐藤光展さんがまさにそんな感じの新しい本を出しました。
そのタイトルもまた、『心の病気はどう治す』(講談社現代新書)と、前向きです。
以下、「はじめに」から引用させていただきます。
本書は、精神医療界のオールスターチームによるメンタルヘルス向上のためのガイドブックです。回復に役立つ知識から社会的課題を解消するヒントまで、ありったけの情報を盛り込みました。
個々に主役を張れるほど著名な精神科医たちに、ウルトラ兄弟のように大集結してもらったのには理由があります。薬にばかり頼って来た精神医療が袋小路に入り込み、史上最大級のピンチに直面しているからです。このままでは患者が益々追い込まれてしまいます。(中略)
各章に登場する精神科医たちは、20世紀から続いてきた薬物療法偏重という生物学的精神医学の激流の中で、時に大波にのまれながらも踏み止まり、患者の「こころ」と向き合い続けた人たちです。葛藤の中で見出された精神療法などの叡知を、生きづらい自分や劣化する社会を変えるために共有し、「みんな」のものにしたい。それが本書の狙いです。
ふ~ん、オールスターチームかあ。綺羅星のごとくだね。
でも、誰か言ってたな。いい先生は案外市井のなかにいるって。
それに、精神医療はいま袋小路に入り込み、史上最大級のピンチにあるんですか? 私にはそうは思えないけれど、そうだとしたら、いっそのこと、小泉さんじゃないけど(結局やらなかったが)、ぶっ潰した方がいいんじゃない?
よくわかりませんが、こういう肯定的な本は、文句ばっかり言ってる本より、きっと人々に希望を与えてくれるのでしょう。が、一方で、精神科に期待(幻想)を抱いてしまう人も増えそうです。
そもそもこの人、精神医療批判だったのではなかったっけ? 変節でしょうか。裏切りでしょうか。
ともかく、興味のある方は、どうぞ。回復に役立つ知識から社会的課題を解消するヒントが見つかるかもしれません。(私は、下のようなご尊顔を拝しただけでもうお腹いっぱい。そしてこの綺羅星たちの製薬会社との関係を知れば、もうお腹いっぱいどころか、うんざりしてきます。)