いつもの踏切

列車が警笛を鳴らす

その甲高く引き攣った音

 

アンタの絶望が

アンタの

有り余る生命の泉を

撃ち抜いた

 

その瞬間を彩った

赤く赤い火花

人間の血

 

最後の芝居

目撃者は風

彼女は美しかったですよと

 

アンタが見捨てた世界

代わり映えせず

佇んでいるだけで

アンタを想い続けた

誰かの良心さえ今は

 

皆に

哀しみ一片一片

その手に取って

温めてあげる

余裕さえあれば・・・

 

 

 

彼は泣いた

少年の日の夕焼の色

どうしても思い出せないと

 

冷めた街の中で

育まれた

狡猾さを前に

跪いて

 

そこに潔白は無く

黒く濁った

態(なり)が

 

一昨日に

逃げ込んでも

赤い風船を手に取ることも

 

清爽さを詰り

札束にリンチされ

時に誰かを詐欺れば

皆同じように

その眼歳を取ってゆくと

 

誰もが

優しさに凭れかかり

いつの日かの

幻影等を

追いかけていたいと・・・