君を愛する理由はないけど

君を愛さない理由もない

 

そう

偶然なのか必然なのか

分からない位が丁度いい

 

君は麗らかな人だ

風のないこの部屋の

カーテンを揺らす程に

 

その嫋やかさが

冬の桜を

咲かせてしまうのだろうか

 

けれど君も人間で

そして それだけじゃない

 

雪道で差し掛けた傘が

風に攫われ

守るべきものを

守れなかったりもする

 

だから確かなことを

探し回る必要なんてないし

探し回りたくもない

 

ただ冬らしく冬に寄り添えば

春へと歩む足音

静やかに 静やかに

 

決して君に触れさせなかった

頑なな思想も美学も・・・

寒風 寒雨

 

 

君に愛される資格はないけど

君に愛されない資格もない

 

そう

答えのない答えの中で

彷徨う位が丁度いい

 

床のタイルの傷に

染み付いたままの

僕の頑なな思想や美学・・・

 

君に悟られないまま

張り替えて

新しい時代の地図を広げてみる

 

人の愚かさを直視し

風を切って歩いてゆこう

 

心に潜む光と影

美しさの奥に在る卑しさ

温かな残酷さ

虚無感と激情

 

全部全部肯定して

まだあどけないながらも

なんとなく大人に成って

 

冬が冬の務めを全うし

季節を春へと譲る

その汐らしさ

 

感傷的に見つめることさえ

こんな日が来たのかと

あの頃を笑い飛ばそう