初恋は〇歳

 

 

今すぐにでも飛んでいくよ

風が吹いても

雨降りでも

これからもずっとずっと側にいて

誰よりも早く伝えたい

 

俺みたいな中年のオッサンが

トチ狂って優しい恋歌なんかを

口遊んでしまえば

時々

人生という名の日記の

最も甘酸っぱい項をめくってしまい

セピア色にも満たない

途切れ途切れを

虫眼鏡片手になぞってしまうから

手に負えない

 

あれは幼稚園の2年目くらいか

それとも3年目なのか

5歳だったのか6歳だったのかさえ

更にはどんな建物で

どんな先生・・・

もう忘却の彼方

 

ただそこに(リカちゃん)が居て

悪戯を仕掛けてやりたいという

(西野カナ)の(君が好き)を

未だ知り得ぬ少年なりの

(君が好き)が在ったのだろう

 

もぉ~~と言いながら

(リカちゃん)が

追いかけて来てくれる

それが堪らなく嬉しいのだ

だから何度も何度も繰り返す

それ以上でもそれ以下でも

なかった

 

卒園の歌と桜色の季節

彼女と離れ離れに

なってしまうことが

切なかったのかさえ

今となっては

遠く遠い宇宙の果ての塵

 

そう考えれば初恋とは

なんと淡く儚い

一度きりの

大切な思い出なのだろう

 

小学校の頃

思いついたかのように

彼女のことを想像してみたりもした

 

ただ

子供ながらの身勝手な妄想が

彼女をとてつもなく可愛らしい

アイドルに

仕立て上げてしまっていた

 

6年もの歳月を経て

中学校で再会した

彼女は

とてつもなく可愛らしい

アイドルとは程遠かった

 

その瞬間萎えてしまうのも

幼い初恋が成せる業なのかもしれない・・・・・