夜空を埋めたピンクの花びら

その諄さよ

主役を奪われた星が

顔を顰める

 

いっそ消されてしまえよ

輝き続ける苦悩から

解き放たれたいと

 

こんな茶番に

阿波踊らされた雑踏を余所に

この世の扉を抉じ開け

あの世へと飛び込んでみましょうか

その前に何を詠もう

 

同志が近付いて来る

痩せこけて肢体を紅が包む

 

死相と死相が向かい合えば

どちらからともなく

薄氷い恋を乞う

粋なんて時間の無駄だから

 

乾いた音は

時代に殺される前に

身勝手に死ねばいいさと

 

瞬きする間にこの恋は終わり

涅槃へと旅立つ貴女を

ただ呆然と見送る

 

 

季節を失った街角の野良猫が

空の値段がなくなったと

風は吹くことに疲れ果て

だから生きてゆける

 

下手に産まれてしまって

求め過ぎる苦悩と定め

背負ってしまい

 

星になった貴女

何時を 何処を 何を 知らせる

多分一昨日の娘の儚さ

それとも明後日結婚する女の性

綺麗事ならいいさ

 

あの瞬間を覗きたくて

芙蓉の坂を登る 女々しいかい

 

嗚呼 貴女と瓜二つの女が

夜に紅が映えて

待ってくれ心が叫ぶ

俺を軽く躱し闇に消えてしまえば

 

唖然とする群衆を掻き分け

赤いスーツ祭壇の前

伝えたかった言葉が・・・