高貴・高尚・高等と

膝を突き合わせ質疑応答

下種・卑俗・下等と

違法な酒を酌み交わせば

 

浮世・有頂天・墜落

爆音・悲鳴・不義・混沌・刹那・・・

 

俺は時代を錯綜する乱気流と寝た

 

仕上がった多種多様な作品群を

世情と名付ける

 

それを天国の世間知らずなディオールに翳す

ディオールの溜息が俺の背中を数瞬温めた

 

またしても内面の小宇宙は膨張

 

そして

炯々として全世界を睨み付ける

 

すると

亡きヘップバーンから手紙が届く

俺は涅槃へと急いだ

 

生と死の境界線を跨いで彼女と俺と折衝と

 

永遠に凛としていることを確約させられた彼女が

美しすぎるが故の罪と罰を切々と語る

 

こんな所にまで来て

寛ぐことを本能的に拒否し

虚勢を張っていなければならない定めと苦悩の事を・・・

 

俺は心から彼女を抱き締めてあげたいと思った

その瞬間

現世へと引き摺り下ろされた

 

完成か未完成かという言葉に苛まれながらも

リトル・ブラック・ドレスの未来が

螺旋階段を駆け上がるが如く

描かれてゆく

 

天国のジバンシーの喝采が脳裏に響き渡たった

 

噂を聞きつけた

ゴッド・ファーザーが

俺をシチリア島に招待してくれた

 

俗世間を離れ反社会精神を宿した二人は

とても気が合った

 

夕暮れ時

彼は俺の手を取り目を潤ませながら

私に生きる価値があるか??と問う

 

俺は人は皆愚かだ 愚かだからこそ愛おしい

生命を有した者全てに

生きる意味が用意されている

そう答えた

 

すると彼は枢機卿を殺めた心の銃を

差し出す

 

俺は俺でその銃を胸の奥の一番深い所に収め

おおらかに笑ってみせた

 

幼子の様に泣き喚く彼を宥めた夜の事

 

その銃は今でも胸の奥で眠っている

 

天国のシャネルの嫉妬が聞こえてくる

 

更にはドイツへと飛び

ヒトラーの子孫達の

決して子供を産んではならないという

覚悟と対峙したりもした

 

ウィ―ンではシュトラウスから

ワルツを掠め取ったりもした

 

心の旅を続けるうちに

並み居る奇人変人達の頂点へと駆け上がった

 

いざ・・・

 

逃げ惑う完璧に翻弄されながらも

この保守的な日本に在る

モードの首都

青山・原宿界隈と視点が合う

 

吹く風が尖った槍に感じられる

しかしいたって平静を装い

 

日本のファッション界を代表する

ジャーナリスト女史のオフィスの門をたたく・・・