第一章 親父が見たものは


あれは私が小学生の低学年だった頃、
私の父親が妙なことを言ったのを今でも覚えている。――
親父は理論的な人間であったが、比較的 口数も少なく、好きな野球のことや、
まれにTVで放送される野生動物のこと以外は、
あまり多くを語らない人であった。
親父は小笠原諸島の生まれで裕福な家庭で育ったと聞いている。
毎日、海と、自然に恵まれた環境の中で自由に育った。
私はおじいちゃんからも何度も聞かされた。
「カヌーを買ってやったんだ。」とか … ――
大きな海亀にのっていた頃の話もよく聞かされた。
親父が生活の中に『海』が密接にかかわっていた事は
私は子供ながらに感じていた。
ある日、いつものように学校から帰り、夕食を済ませ、テレビを見ながら
さながら夜の団らんという時、テレビではUFOの特集をやっていた。
誰でもそうだと思うが、子供のときにみる宇宙人っていうものは本当に怖いものだ。
番組も終わり、風呂にでも入ろうとしたとき、親父がボソッとつぶやいた。
もちろんテレビを見ての感想だ。
「宇宙人は海に住んでんだ!」
と・・・
何の余韻も残らず、会話は途切れ、そのままいつもの生活が続いた。

20歳を過ぎていつの事だろう。
UFOや宇宙人の話題がTVからすっかりご無沙汰しての突然の特番!
いつもなら友人と夜遊びでもしているような時間帯に、偶然にも私はそれを見ていた。
いや見入っていた。
そして、途中、私は気がついた。
遠い昔の子供の頃、
そう、『親父は見たんだ!!』
・・・・・
その時、私は確信した。


つづく