この本は、今までのパターンと変わっていまして、語り部となる二人の人物に

よる手記と記録とが交互に著され、ある事件の奇怪な様相が次第に浮き彫りに

されていく仕掛けとなっています。
A Day In The Life

ストーリー
人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。

第一発見者は、妻の理恵と被害者の幼なじみである野々口修。

犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一郎は、この事件は顔なじみの犯行である

ことを断言する。

それは、犯行当時の記録をとった野々口の手記からだった。

加賀は犯人は、野々口修の線で捜査をすすめる。

野々口には、アリバイがあった。

日高が殺された当時は、野々口は出版者の人と打ち合わせをして、日高が

殺される前に彼から、電話があったと証言した。

しかし、ほんとに本人からの電話だったのか?

加賀は、そのカラクリをいとも簡単に見破ってしまった。

野々口は、日高の自宅のコンピュータを使って、自分の家に自動でファックス

を流すようにしていたのだ。

あたかも電話があったように。

自作自演を行っていたのだ。

野々口は、犯行を自白する。

しかし「なぜ日高邦彦を殺したのか?」

その「動機」は依然掴めないままだった。

野々口の家を家宅捜査したときに、ノートや原稿用紙、エプロン、ネックレス、

旅行の申込書が見つかった。

ノートや原稿用紙を見ると、日高邦彦が発行した書籍と内容が似ていた。

また、エプロンは日高邦彦の死んだ前妻のものだとわかった。

野々口は、「自分は日高邦彦のゴーストライターであり、死んだ日高の前妻

とは不倫をしていたのだ。」と言う。

また、日高の前妻は、邦彦が野々口を脅して、自分のゴーストライターとなる

ことを知って、そのことを苦に自殺したのだとも。

「動機」が掴め、この事件は終結したかのようだったが、加賀はどうも附に落

ちない。

その後、野々口と日高の学生時代の関係にまでさかのぼって、たどりついた本当

の事実とは?

ネタバレになりますので、この先は書きませんが、

この事件は、人間の一番醜い感情が一気に爆発した末の事件でした。

犯人の手記や語りになるほどと思わせておき、だまされる。

この繰り返しでした。

これも最初のページからお読みください。

そしてだまされ、最後にこの事件の本当の背景を知るでしょう。