キン肉マン83巻を語る | 上条武術研究所

上条武術研究所

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・自宅ジムを開放(不定期)
・武術系、介護系の同人誌制作

最新刊を購入しました。

ついに、刻の神と時間超人が登場!
だだ、これは僕の感覚なのですが、時間超人のほうに理があるように思えるんですよね。

あらすじを説明します。

元々、神には108の席があって、その空席を埋めるために【超人】は作られた。
そして、超人達は地上で勢力を拡大していった。紆余曲折はあったものの、ついに神々の席につけるほどの実力を有した超人達が育ってきた。

ここで問題が発生する。
実は世界のパワーの総量というのは決まっており、超人達が勢力拡大した分だけ、地上のどこかで歪みが生まれていたのであった。
本来ならば、このまま地上は崩壊する…。
実際、オメガの民の例がある。オメガの民が自身の星であるオメガ星の崩壊により、古巣である地球に襲来したことがあったが、このオメガ星の崩壊の原因は、実はオメガの民の超人強度の増大が原因であった。
ただし、地球の場合、神々が地上の歪みくらいは天界でカバーできると考え、その歪みを天界で吸収するように措置し、地上の崩壊を守っていたのであった。

しかし、超人のパワーは神々の見立て以上になり、ついには天界すらも崩壊しそうになっている。
これが現在の状況。

で、83巻では、この天界の危機に対して、様々な勢力がそれぞれの考えの下に動いていることが判明します。


①主人公側の慈悲の神ザ・マンは、キン肉マンの火事場のクソ力に着目。火事場のクソ力というのは、その超人の個別の超人強度を上げるのではなく、超人という種目間で一時的にパワーの貸し借りをしているとメカニズムを説明。これがキン肉マンだけの能力でなく、徐々に様々な超人へ広まっているので、いずれは世界のパワーの総量を変えずに超人達を成長させることができるという。
言わば『超人達で自己解決できるので、それまでの間は神々でサポートしよう論』
キン肉マンを始め、地上の超人達はこの派閥…というか、かつてまだ超人達が粗暴だった時代に全ての神々が「超人達を殲滅させよう。」と考えた中で、慈悲の神だけが超人の可能性を信じて超人を生き残らせた経緯がある。現行の超人はその世界で生きているので、必然的にこの派閥になる。

②調和の神ザ・ワンは、すでに超人達の成長を認めており、「有能な超人は神へ昇格させ、反対に堕落している神は超人へ降格させる」ことを提唱している。天界の崩壊へのスピードを考えると、ザ・マンの策のような超人達の自己解決を待っている暇はないというのが理由である。また、堕落した神に対して憤りも感じている。
言わば『早急に、能力による立場の再定義を行い、世界のパワーの内訳を調整しよう論。』
ここには、神の試練をくぐり抜けた超人達の中でロビンマスク、アシュラマンが同調している。バッファローマンはザ・ワンに敗れたため、この軍門に下っている。

なお、かつては超人達をカピラリア七光線で殲滅したり、ザ・マンが超人閻魔を名乗り、下等超人や超人強度の高い危険因子となる超人を粛清したりして、世界のパワーの内訳を調整していたし、実は今回の天界崩壊の危機も、超人という種を殲滅させれば解決だけはできる。
しかし、神々の席に座れるくらいに成長した超人達が出現している現在、ザ・マン、ザ・ワンともに超人を活かそうという考え方で共通している。


ここで、2つの勢力と相対する敵が登場する。
それが刻の神。

③刻の神は、崩壊する天界とそれを対処できない神々に見切りをつけ、別の時空で新しい世界を作ろうと動きだしていた。ここでいう対処できない神々には、慈悲の神や調和の神も含まれている…。
刻の神だけは時間を操れるので別の時空に行けるのですね。
また、自らの時間を操るという能力に準じた能力を付与させた【時間超人】を産み出している。これによって世界のパワーの総量は跳ね上がり続けており、天界の崩壊も早まっている。
言わば『この世界は終わりだから、とっとと崩壊させて、俺が新しい世界を創造する論』

あとは、④番目の勢力があるとしたら、邪悪の5大神でしょうか。
彼らはすでに天界の中枢を追われている身で、自分達の神の席を守ることが最大の目的。そのためには超人をも利用するという考え方。
ザ・ワンの提唱する天界の再定義には当然に反対なはずです。
ただ、これまでは慈悲の神ザ・マンに協力をしていた…が、ザ・マンとザ・ワンが時間超人を打倒するため共闘し始めたために、今後の動きが気になるところです。


…と、ここまであらすじとそれぞれの勢力を書きましたが、私は刻の神の行動を決して悪ではないと思ってしまうんですよね。
天界崩壊の危機を起こした最初の原因(加害者側)は、キン肉マンを始めとする超人達のほうで、さらに言えば超人を作ろうと提案した慈悲の神であり、その超人を育ててきたザ・マンであるからです。

で、ザ・ワンにつくか、ザ・ワンにつくかの対立は、まだイデオロギーの争いの範疇なんですけど、刻の神との戦いになると、もう超人個人ではどうしようもできない中での戦いになりますよね。飲み込まれていくしかないという。

相手となる時間超人にしても、オメガの民達のように侵略してきたわけでもない。むしろこちらから時間超人の殲滅に向かっていますし。
時間超人からすると、現行の超人達こそが侵略側なんですよね。「そっちの問題はそっちで解決しろよ!」ってなる。
また、仮に戦いの中で友情が芽生えたりしても、超人が存在している以上、世界の崩壊は止められないわけです。

だから、感情移入が難しいのですよ。


そんな私は、83巻を購入したタイミングで、せっかくだからと新超人を4枚投稿する。
採用して欲しい!