すべてのものは、より小さい部分の組み合わせによって構成され、より大きな全体の部分となっています。たとえば、細胞が集まって人体をつくり、人が集まって家族をつくり、家族が集まって共同体ができる、という具合です。つまり、集まり方、集合の仕方をデザインすることは、それが構成する全体の姿をデザインすることにもつながります。 ここでは、富山の砺波平野と沖縄の竹富島を取り上げます。足し算のような組み合わせ方と、かけ算のような組み合わせ方。2つの集合の仕方を考えつつ、それによって生まれる風景の違いについてみていきたいと思います。
Movie1・・・足し算の散居村
Movie2・・・かけ算の小島
Movie3・・・ブドウの茎をデザインする
砺波平野では、家屋の周囲にかいにょと呼ばれる屋敷林を形成して厳しい気候に対処しています。こうした屋敷林は、スギを中心にマツやヒノキなどの樹種が見られます。現在の砺波平野には、およそ220平方キロメートルの範囲に7,000戸程度が散らばっているとされています。 竹富島の周囲はサンゴ礁に囲まれており、最大標高 21メートルというとても平坦な地形にも関わらず、1771年の八重山地震による明和の大津波から島を守ったといわれています。まちなみや文化を大切にする意識がつよく、妻籠の取組みなどを参考とした竹富島憲章が制定されています。