もひかん林檎園の工藤さんが所有する林檎畑は1.9ヘクタール。そして、林檎畑をほぼ同じ規模で借りて無肥料・減農薬・葉取らず・樹上完熟でもひかん林檎を作っている。

 

米作と同じように、畑をもっていていも、管理しなければならない。特にりんごは病虫害に弱い。薬剤散布をしなければ、病気や害虫が大発生するのだ。そのため、労力の割に収入が少なくリンゴ栽培をやめた農家は、リンゴの木をすべて切り、その畑を草だらけにしないために草刈りや除草剤を撒き続けなければ、他のリンゴ農家に迷惑がかかる。

 

そのため、リンゴ畑を管理してくれるという条件で無償で貸すのである。工藤さんは、そういう畑を借りながら4ヘクタール近い面積でもひかん林檎を作っているのだ。

 

農業は天候にも左右される。昨年、リンゴは10月~11月、気温が高く、多雨で日照不足だったために、リンゴの味が良くなかったのである。もひかん林檎も10月以降の林檎、北紅、ぐんま名月、コスモサンフジ以外は、味が今一つだった。特に残念だったのは、「こうこう」である。

 

11月に積雪があり、早めに収穫せざるを得なかったのである。「こうこう」はまだ一般に出回っていない品種だが、私のお勧めの林檎である。

 

日照りに不作無しというが、日照がとても大事なのである。美味しい林檎は無肥料で作らないとできないと工藤さんは言われている。リンゴが紅くなるというのは、リンゴの中にある窒素成分が抜けて、熟していくということなのだ。

 

肥料を撒けば、結実数が多くなり、実も大きくなる。しかし、肥料過多はリンゴを不味くし、そして健康にも被害を与えるのだ。最近、有機肥料栽培が事あるごとに推奨されているが、有機肥料が完熟するまでには、数年かかる。特に気温が低い地域では、有機肥料は作りにくい。

 

完熟していない有機肥料に含まれる硝酸性窒素が、野菜や果物を通して摂取され、食事の肉や魚のたんぱく質と結合し、「ニトロソアミン」という発がん性物質を発生させる可能性が指摘されているのだ。化学肥料による窒素過多でも、作物にも病虫害を発生させ、被害を与える。

 

耕作面積が大きい農家ほど、病虫害による減収の確率を下げるために、農薬を撒かざるを得ないのである。

 

工藤さんは私に「見た目が綺麗な大きなリンゴを作りたかったら、農薬と肥料をたくさん使えば、良いし、収入は増える。しかし、それでは、安心、安全な美味しい林檎は作れません。」と言われたことがある。

 

減農薬のもひかん林檎は昨年の9月~10月、黒星病の発生で悩まされた。黒星病とはリンゴの皮の表面に黒い点がついてしまうのだ。しかし、昨年、JAには小さな黒点が一つついていても、出荷できなかった。その為、リンゴ農家はさらに農薬を撒くようになっているのだ。薬剤を散布すれば、当然、病原菌はさらに耐性をつける。

 

現在の慣行栽培では12回の薬剤散布が奨励されているが、20回以上もしているリンゴ農家がある。もひかん林檎園も黒星病対策の為に、3~5回せざるを得なくなっている。日本の消費者は野菜や果物の外見を重視すると言われている。

 

虫が食べている野菜や果物は安全だと言われるが、最近、有機肥料、無農薬という看板を掲げながら、実際は農薬を撒き、未完熟の堆肥を使い、最後にわざと虫をつけ、食べさせ、作物を出荷している農家もあるという。 

 

もひかん林檎は正真正銘の無肥料、減農薬、葉取らず、樹上完熟です。

 

 

写真はスピードスプレイヤーに農薬散布です。

遠方に煙のように見えるのが農薬散布しているところです。

手前の畑がもひかん林檎畑。除草剤を使っていないので、下草が生えています。

 

もひかん林檎樹形です。

スタディがもひかん林檎畑を見下ろす。

工藤さんご夫妻です。 徒長枝が立っています。