もひかん林檎物語 12 スターキングがすたれた理由とコスモサンフジ

 

コスモサンフジを工藤さんが植えたのは8年前、無肥料、減農薬を始めた頃だそうです。減農薬を始めた頃、四カ所ある林檎畑の一つで黒星病が蔓延し、全滅状態。農薬を撒かないと工藤の林檎のようになると噂になり、いろんな農家が見に来たそうです。そこで、工藤さんは、その畑に植えられていたすべての林檎の樹を伐採し、新種であったコスモサンフジを植えたのです。林檎の実がなるのは5年、しかし、若木のうちは雪害に弱く、枝が折れ、なかなか実がなりませんでした。8年目の今年、やっと販売できる個数まで、林檎がなったので、某有名デパートや有名通販店にプレミアム林檎として、出荷できるようになった品種なのです。

 

私が子どもの頃のリンゴと言えば、スーターキングデリシャス。それと酸っぱい紅玉、国光、甘いが水分の少ないインドリンゴでした。10月に工藤さんの所に行った時に、出荷していない昔懐かしいスターキングを頂きました。食べてみましたが、9月以来食べてきた林檎とは違い、美味しかったという思いが消えました。

 

スターキングがすたれた理由は、米国から入った色づきが良く、大きな玉になる新種のスターキングを導入したからです。この品種は肥料過多で、完熟しないうちに収穫すると肥料分が皮の部分に残ってしまい、青臭いまずいリンゴになりやすかったのです。そのため、この品種を栽培する農家は激減しました。このように、未熟な堆肥や完熟する前に出荷するなど栽培法や収穫時期を守らず、栽培されなくなったリンゴはまだたくさんあるのです。

 

JAや市場には、色づきがよく、大きなリンゴほど、高い値段で出荷できます。また、未熟なうちに出荷すれば、味は不味いですが、保存性が高くなります。蜜が入らないリンゴは、傷みにくいので業者によっては、蜜入りは仕入れをしないところもあるのです。バイヤーは、味よりも見た目、大きさ、保存性を求めるのです。

 

もひかん林檎のように蜜が入った樹上完熟林檎はどうしても保存性が悪くなります。しかし、本当に美味しい林檎、果物は樹上で完熟したものです。農薬散布に関しても、もひかん林檎は7月上中旬が最後の45回目の散布なのですが、20回以上も農薬をかけているリンゴと比べたら病気がつきやすくなり、収穫量も売り上げ収入も減ります。しかし、工藤さんは安心、安全な林檎作りのために、妥協しないのです。

 

インターネットに「コスモサンフジ」と入れても、一件だけしかヒットしません。この美味しい品種を今から植えても収穫できるのは5年後です。しかし、この林檎は肥料を与えないで育てないと美味しくならない特性があるので、工藤さんは、このコスモサンフジも栽培法を失敗して、スターキングのようにすたれていく林檎になる可能性もあると言われています。肥料と農薬を大量に使えば、見栄えの良い大玉のリンゴはできますが、安全な美味しいリンゴはできません。品評会に出すリンゴは無肥料、減農薬で作り、出荷用のリンゴは20回以上も農薬をかける農家もあるのです。私が青森の道の駅で買ったリンゴは食べたら唇や舌、喉がしびれました。しかし、それが今のリンゴ作りの主流なのです。

 

自然の力を活かした無肥料、減農薬、草生栽培、樹上完熟のもひかん林檎は、だから安心、安全な美味しい林檎なのです。そして、このもひかん林檎を安く手に入れるのは、中間業者を無くした生産者直送のシステムしかありません。

 

今、コスモサンフジを食べていますが、工藤さんの「コスモふじは、蜜入り多く、酸があり、香りあり、ジュウシイと欲張りな林檎 です。」という言葉に偽りはありません。今年はリンゴの出来が悪い年というのは確かですが、コスモサンフジに関しては、この言葉は当てはまりません。

 

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