(その②からの続き)

 

 

つぎは戦後世代です。

 

いよいよモダニズム建築が主流となった時代です。反動で、ポストモダニズムも出てきます。

 

①丹下健三(1913-2005)

 

戦後第1世代。

 

欧米に追い付こうと一生懸命やってきた日本建築界に現れた、超大型新人です。

 

ピカピカのモダニズム。さらにそのうえ、なんか「和」の感じがする!

 

という、いかにも意識高い系の外人に受けそうな作風で、案の定、国際的に評価されました。

 

なじみ深い代表作は、お台場のフジテレビ本社でしょうか。ちがいますね。

 

学校なんか作ってんのか?と思ったのですが、立教大(東京都豊島区)のメーザーライブラリーがそうらしい。

 

そういわれると、そんな感じだなあ。

 

 

 

 

 

 

②大高正人(1923-2010)

 

戦後第2世代。

 

この世代は丹下健三の弟子の黒川紀章なんかが有名なんですが、「メタボリズム」という建築スタイルを提唱します。その中心人物の一人。

 

これまでの建築物は「建てたらおしまい(=完成)」。

 

そうじゃなくて、増改築を前提とした、「成長していく」建物とか都市設計にしよう、というスタイルです。

 

見た目的には、昔のSFマンガに出てくる「未来都市」みたいな建物が多いです。

 

日本建築界もこのあたりから、欧米の物まねではない新しい考え方を生み出し、海外からも評価されるようになってきたそうです。

  

批判的な人に言わせると、作品自体で勝負するのではなく、「作品を解説する理論」で勝負する」という、現代美術家にありがちな悪い癖がついたのも、この世代からだとか。

 

それはともかく、大高正人の建物は一般人が見ても、素直に「かっちょイイ」と思えるのではないでしょうか。

 

日大津田沼キャンパス(千葉県習志野市)の図書館が大高作品です。

 

キャンパス自体、見どころたくさんです。

 

 

 

 

 

 

 

③磯崎新(1931-)

 

さらに次の世代へ。

 

世の中的には、新国立競技場問題で話題になった建築家のザハ・ハディドを、最初に見出してプッシュした人、と説明するとわかりやすいのでは。

 

鉄道好きにも、色々な意味でおなじみかもしれません。

 

いわゆる「ポストモダン」建築家です。

 

モダニズム建築は、昔ながらの「ごてごてした飾りつけがされた建物」を否定して、無印良品的な、すっきり快適なデザインでいくよ、ということです。

 

それに対してポストモダンは、「それじゃ殺風景で、寂しくない?」と、再び飾りつけしたり、建物の形自体をいろいろ工夫してみたり。

 

そんな世界的ムーブメントです。

 

代表的な磯崎作品は、つくばの駅ビルと駅前広場ですが、大学で手近なのは、ヴォーリズの建物に高層棟を建て増した、日大駿河台(東京都千代田区)でしょうか。

 

 

 

 

 

 

④槙文彦(1928-)

 

やはりポストモダンです。

 

でも、モニュメンタルなど派手建築の磯崎とはちょっと方向性が違って、景観への配慮とか低層建築とか、そっちの方への目配りで知られている感じかなあ。

 

新国立競技場問題では、ザハ・ハディド案に猛烈な反対運動を繰り広げました。

 

代表作は代官山ヒルサイドテラス。

 

大学もいろいろ手掛けていて、慶應SFCや、千葉大亥鼻講堂、名古屋大豊田講堂、東京電機大北千住など、山ほどあります。

 

でも一番いいのは、立正大熊谷キャンパス(埼玉県熊谷市)。かな。

 

 

 

 

 

 

槇文彦の真価は個々の建物ではなく、それなりの広さの敷地を自由に使わせて、都市公園的なスケールで総合設計をさせた時に現れる、とかいう説もあります。

 

立正大熊谷も、個別の建物の良さより、全体としての風景の方が印象的でした。

 

 

⑤岡田新一(1928-2014)

 

東大建築から鹿島建設に就職。最高裁判所の設計コンペに1等入賞したのを機に独立開業、という建築家です。

 

嘘か本当か知りませんが、コンペの審査委員長が「おや、これは話題の磯崎新の応募作かな。よし、これにしよう」と、勘違いしてしまったとか。

 

それはさておき、最高裁とか警視庁とか、なんだか権力的な建物を作っている人です。

 

が、実際、でーんと存在感のある建物を作る印象が。

 

そう、要塞のような・・・。

 

大学案件では、拓殖大八王子国際キャンパス(八王子市)を途中から手掛けています。

 

 

 

個人的には、この人こそ「我が心のポストモダン建築家ベリーベスト」と、位置づけています。

 

えっ?岡田新一はポストモダンかって?

 

拓殖八王子の図書館と管理棟は、実にそうだと思いますけどね。

 

そもそも、磯崎新と間違えられたくらいなんですから…。

 

とまあ、とりあえず、こんなところで。