分野: 自伝

評価: 3

 

大逆罪で逮捕され23歳で獄中で死亡した著者が、壮絶な半生を記した手記である。

 

女と暮らすために家族を捨てた父と、依存心が強く男を選びやはり子供を手放す母。放漫な両親から見捨てられた著者は、幼い頃から親戚の元を転々と暮らすこととなる。戸籍から外されたまま貧しい暮らしを強いられ学校では差別される。朝鮮で育てられた数年間は祖母達にいじめ抜かれた地獄の日々であった。帰国後も不遇は続き、東京での自立を決心する。上京後は働きながら勉強する内に社会主義者達と出会い政治活動に傾き始める...。幼い頃から活動に目覚めるまでの記憶をたどっている。

 

とにかく不幸な境遇が自立するまで続く。大人達の身勝手さが幼い著者を責め続ける。激情的で文章が上手い著者の吐露には迫力がある。あまりに悲惨と言える境遇は、著者の恨み故に盛っている部分があるのではと勘繰る程に辛く、その反動が不運な最期に繋がっているのであろう。長い手記であるが様子がしのばれて一気に読んでしまう。

 

逮捕に至る経緯は書いていないので分からないが、生きていれば上手い作家になっていたことを想像させられた。

 

 

評価
  5:大変面白い、名作
  4:かなり面白い
  3:普通に面白い
  2:あまり面白くない
  1:全然面白くない