漫画アニメ作品の実写化には
否定的な私
ですが、
まったく成功例がないわけでもないので、
気になった作品は見るようにしています。

実写化が成功するケースで考えられるのが、
原作が少年少女刊のものではなく、
成人向け雑誌(エロという意味ではない)が
原作のものである場合が多いです。


ヤングジャンプ、ヤングマガジン以上の
連載作品のことですね。

ライアーゲームは最高傑作の1つですし、
テルマエ・ロマエも成功例の1つといえるでしょう。
 

 


寄生獣は講談社アフタヌーン連載作品だったので、
上記のルール上では視聴に堪えうるかなと思い、
見ることにしてみました。

結論から言うと、ダメダメでしたね。
(´・ω・`)


わりと長いシナリオなので、
120分に収めず、
前後編の2本にしたのは良いですが、
それでもシナリオを端折っていましたし、
上手くまとめられていませんでした。


シナリオもさることながら、
それぞれのキャラクターも微妙でした。

 


主人公の泉新一の染谷将太、
ミギーが憑依したことで悲愴になるのは当然ですが、
演技が誇張すぎるところが目につきました。

(画像をご覧になればわかると思いますが)


ミギーの声(阿部サダヲ)に関しては
好みの問題もありますが、
私はやはりアニメの平野綾の
女子ボイスの方が良いです。

 

 



田宮良子の深津絵里は、
一見するとマッチしているようにも見えますが、
田宮良子が本来持つ、独特の怖さがありませんでした。

人間に興味があり、
研究のために人間を無闇に殺さないものの、
感傷はないのでその気になれば殺人も平気。
敵対していないけど味方ではない。

 

そういう怖さが田宮良子の真骨頂ですが、
実写では冷静な演技に終始して、
怖さ自体はまったく感じられなかった。

それゆえに、赤ん坊の出産後に、
感傷が生まれつつある
田村玲子(実写は田宮のままですが)の
変化もあまり感じられませんでした。



村野里美の橋本愛は、
率直な感想で原作よりもアニメよりも、
可愛い(*´ω`*)と思いましたわw


ただ、序盤の新一との関係性が
原作とは異なる雰囲気だったのが惜しいかな。

終盤のセックスのシーンで

原作同様に

ビーチクを出せば完璧だったのだが!
(`・ω・´)


え? 無理?
(´・ω・`)

 

 


原作では泉家は両親と新一の3人家族で、
序盤に母親が寄生生物に殺されて、
父子家庭となるのですが、
実写では父親不在の母子家庭という設定。

つまり、母親が殺されると、
新一は天涯孤独の身になるという、
無茶ぶりでしたwww

 

 

この作品、父親の存在は

かなり重要なのですけどね。

 

母が殺され寄生生物に体を奪われ、

そいつが今度は父親を殺そうとしている。

 

父親だけは殺させない。

その前に母親を乗っ取った寄生生物を殺す。

と決意して父親が旅行先で

入院しているところへ向かうシーン。

 

巻き込まれ体質だった新一が、

初めて自分から寄生生物を

殺さなければならないと意識するところ。

 

 

仇を討つまで帰らない姿勢が熱かったわけですが、

実写版だと母親に一度殺されかかって復活して、

普通に登校しているというね…。

 

 

ちなみに原作だとAは普通に襲ってきて倒し、
母親を乗っ取る寄生生物は別のものでしたが、
実写版だと新一に一度倒されたAが、
死ぬ間際に偶然そこを通りかかった母親を殺して
憑依するというケースに代わっています。
 

 

 

 

母親との決着の時に登場する宇田さん。

 

寄生生物を持ちながら人間であるという、

誰にも事情を話せない孤独な身である新一の、

唯一同じ立場である理解者です。

 

宇田の存在は新一の心理面では救済余地なのに、

実写版では登場しませんでした。

 

 


島田秀雄は、実写版では三木の存在が希薄
(倉森がバイトを雇って尾行させるなどの
シーンがカットされているので)であるため、

原作とは違って陽気な雰囲気になっていました。
そのせいか、原作よりも
不気味に仕上がっていましたね。


島田絡みの設定も原作とかなり改変されています。
原作で新一が倒す順番は、A→母親→島田
実写版では、A→島田→母親(A)です。

他にも原作では島田の死体から、
髪の毛を千切れば寄生生物とわかる
という情報が得られるのに対して、
実写版ではその情報はネットで広まり、
美術部員の1人が島田の髪の毛を千切ることで、
寄生生物だと発覚して暴走する形になっています。

このあたりもシナリオ冗長のカットですね。
原作では警察を兄に持つ美術部員の1人が、
島田の能面に注視しているところに、
野球の打球が島田の顔面に当たり、
凹んだところを目撃しての発覚でしたから。

カットといえば、先ほどの宇田もそうですが、
加奈と光夫は完全にいませんでした。

 

加奈は他の人とは違って、

微弱ながら寄生生物の信号を受け取ることができます。

本当はミギーに反応しているのに、

加奈はそれを新一とは心が通じていると勘違いします。

 

新一は加奈に、その感覚に従うのは危険

(新一以外の本当の寄生生物も発見してしまうため)

であると、警告したいが事情を話せません。

 

ミギーは自分の命を守ることをのみを信念として、

新一と共生しています(新一の生命は守る)が、

それ以外の人間に自分のことを知られるのは許さない。

 

このせいで新一は自分の正体を誰にも明かせません。

父親にも里美にも加奈にも。

 

ミギーが完全休眠中に加奈を呼び出して説明しますが、

右手が普通のままなので信じてもらえない。

それどころか、里美との関係を疑われて、

自分を振る口実にされていると誤解されます。

 

そしてその後、今度は加奈の方から

信号を発するようになった。

そして加奈は寄生生物に殺された。

 

本当の事情を話すことができれば、

加奈は助かったかもしれない。

そのことに後悔し、なおのこと寄生生物への

憎しみを強くする新一。

 

こういった心理描写が、

実写版では加奈がいないために完全カット。

(´・ω・`)

 

 

実写映画の前半は母親との決着のシーンまで。
後半から後藤たちの話になります。

正直、前半だけなら、
原作との描写の違いはあれど、
まだ許せる範囲内でした。

後半が酷かったから

駄作になったと考えます。
 

 


まずは後半でも不満点のないところから。

倉森の設定について。
原作では妻子持ちの私立探偵で、
田村玲子に雇われて新一を調べる流れでした。

実写版は妻に先立たれて娘と2人暮らしの
ルポライターという設定で、
田宮良子が色仕掛けでかどわかす形で、
新一を調べさせるようになっています。

私立探偵という職業が微妙なので(失礼!)、
この改変は特に悪いものではないし、
そうすると依頼の体裁を整えるには、
田宮が「女」を使うというのもアリかなと。

新一から田宮が寄生生物と知らされて、
広川一派に娘を殺されて復讐する流れは同じですし。

もっとも、原作絵の方がルポライターっぽくて、
実写の方が胡散臭いルンペン探偵に見えますがw


平間刑事は人間でありながら寄生生物と対峙する
貴重なキーパーソンな存在ですが、
実写版の國村隼はなんかちょっと違う感じがw

基本、悪役の似合う俳優だから、
正義の警官というのがちょっとアレwww

(まあ、後述するキャラより不快感はないですが)


広川市長はダメダメでしたね。
(´・ω・`)


いかにも偽善者面のエセ政治家っぽく
成り下がりました。

広川市長はこの作品における「問い掛け」として、
重要な存在なわけですが、
エセ政治家の雰囲気では迫力皆無。

寄生生物の仲間割れ。
広川勢が田宮良子(田村玲子)を危険視し、
異分子として排除しようとしたシーン。

原作では草野たちの独断だったものが、
実写版は広川の差し金という形になっていました。

 

広川は寄生生物と人間のバランスを重視し、
無欲無感情に行動するタイプなのに、
こういう感情的な部分が出たことで
印象がマイナスに映りました。

そのせいもあって、
人間側の戦闘員に囲まれての広川の演説。
人としては認められない(認めたらいけない)
内容だけど、一定の読者(私を含め)には
心に残るシーンでしたが、
実写のは軽く聞こえて白けました。
(´・ω・`)


ちなみに市役所襲撃のシーンの襲撃部隊は
原作では自衛隊でしたが、
実写版ではSATになっていました。

原作の頃はSATが無かったことと、
(前身となる組織はあったが)
最近やたらドラマで使われるカッコイイ部隊()

だから、変更になったのでしょうね。

隊長は山岸のままです。



最強の寄生生物、後藤。
実写版の顔は強面で、
最強らしさを演出しようとしたのでしょうが、
私は顔はスラっとしつつも、
首から下のガタいが良いギャップさが
ウリだと思っていたので微妙でした。

さらに言うと、新一は三木の段階で一度倒し、
続いて頭に代わった後藤と対決して敗走する、

というのが原作のシーンなのに、
実写版では尺の問題か三木の時点で終わり。
新一が去った後に後藤と入れ替わる描写になっていました。

つまり、新一は後藤とは直接対決していない。
にもかかわらず、終盤でミギーが「後藤」と
名前を口にするシーンがあり、
違和感が拭えませんでした。


原作ではミギーを見捨てて逃げてしまったこと。
自分が後藤を連れてきたせいで

村人が犠牲になったことで、
後藤を倒すのは自分の役目という流れで

暗殺しようとします。

ところが、実写版では

腕にかすかに残ったミギーの細胞を、

後藤が探知して再襲撃してくる

という、
なし崩し的に戦わざるを得ない展開に変更されています。

は?

じゃあ、ミギーの犠牲は

無駄やんwww
と笑うしかなかったですね。

後藤との対決は巻き込まれではなく、
新一自らの意志で行なってこそ
価値があるというのに。
(´・ω・`)




最悪だったのは浦上ですね。

原作における浦上の存在は、
ラスボスの後藤を倒した後の、
エピローグ要素で登場する裏ボスのようなもの。

広川と同じようなことを言っておきながら、
内面は自分の欲望(快楽殺人趣味)を
正当化したいがためのクズというキャラ。

人間でありながら、
心は寄生生物より悪しき存在というのが
テーマであるわけです。

ある意味で、一番怖い存在です。

 


しかし実写版にそれだけの怖さを感じませんでした。
ただの悪党というイメージ。

そもそも死刑囚(服役囚)なのだから、
原作は丸刈りなのに、
なんで実写はボサボサヘアーなの?

まったく雰囲気が出てません。


最強の後藤を倒した後に、
真の決着という形で登場する浦上ですが、
あちこちでシーンをカットしている実写版ですし、
中途半端な浦上を出すくらいなら、
ぶっちゃけ後藤で終わらせている方が
まだマシだったと思いますね。



以上、実写版・寄生獣の感想でした。

 

 


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