本日の懐かしのホラー映画は、「マニアック」(1980)。
ジョー・スピネルが原案・脚本・製作・主演を兼ねた、異常連続殺人事件を描いた作品です。


薄暗い海岸で寛いでいる若いカップルが何者かに襲われる所から物語は幕をあけます。
殺戮を繰り広げながらも、悪夢にうなされる主人公フランクのベッドには、頭部から血がしたたっているマネキンが横たわっています。
夜の街へ繰り出したフランクは、ストリートガールに声をかけ、ホテルで殺害。剃刀で頭皮を剥いで持ち帰ります。
同時に、"新作"を付ける為の新しい女性のマネキンを仕入れて来ます。
新しいマネキンの頭部に殺害した女性の頭皮を打ち付け、ベッドで一緒に過ごす事にフランクは至上の幸せを感じるのでした。
一方、お古のマネキンは、部屋に"コレクション"として飾っていました。

次の被害者は、車で愛し合っていたカップル。無残にもライフルで敢え無く殺害されてしまいます。フランクの凶行が起きる度、新聞の紙面にデカデカと掲載され、街の人々を戦慄させていました。

フランクが日中公園をウロついていた所を、カメラマンのアンナ・ダントニ(キャロライン・マンロー)に撮られてしまいます。
自分の証拠写真が撮られるのはマズいと思ったフランクは、アンナへの接触を図ります。
2人でディナーを共にし、フランクは親密度をあげる事に成功します。
アンナの誘いもあり、撮影現場を訪問したフランクは、モデルのリタに目を付け、口実を作って彼女のアパートを訪問。リタの入浴中に部屋へ押し入り、拷問の末、彼女を殺害します。

リタの死を悼むかの様に、彼女の葬儀へ参加したフランクに対するアンナの好感度は増すばかり。しかし、そんなアンナもフランクの標的となる時が刻一刻と迫るのでした。

「ロッキー」や「ゴッドファーザー」にも脇役で出演していた ジョー・スピネルが製作と主演を兼ねた本作は、まるでスピネル本人が犯罪者そのものであるかの様なリアリティを感じる程の熱演を見せ、彼の代表作となりました。
メイキャップをトム・サビーニが担当。彼の見事な仕事ぶりを堪能する事ができます。また、予算が少なかった為、サビーニは役者としても出演。車でイチャイチャしている所をスピネルにライフルで殺害される男性役を演じています。
自分のメイクで死亡するシーンをやると言うのも何だか凄いですね。(笑)

ヒロインのアンナを演じたキャロライン・マンローは、「007/私を愛したスパイ」やハマー作品に出演している女優で、後に「新マニアック」(1982)(DVDタイトル:ファナティック[新マニアック])でもスピネルと再演しています。
(「新マニアック」は、「マニアック」の続編ではなく、本作の主演2人が再共演した別作品になります。)

「新・マニアック」は、ホラービデオ掲載タイトルの為、いずれ改めて。

本編を観ていて、2つ懐かしい事を思い出しました。
1つ目は、地下鉄のシーン。(ブロンドの看護師が襲われる件です。)
今年海外へ出張した時、NYは治安が悪いので地下鉄は利用しませんでしたが、学生時代ロンドン滞在期間中は、よく地下鉄に乗ったものです。
回数・区間関係なく地下鉄乗り放題のチケットを購入していたので、移動の際は頻繁に地下鉄を利用していたのです。
地下鉄に乗って一番驚いたのは、現地の人達の香水の匂いが強いと言う事。
キョーレツと言っても過言ではない程でした。(;'∀')
体臭を隠す為に強い香水を使っていると言う事を、その時初めて知りました。映画(洋画)を観ている時は、当然ニオイは判りませんので、空想と現実の違いを外国の地下鉄で思い知ったのでした。

2つ目は、泡風呂のシーン。(モデルのリタが入浴する場面です。)
子供の頃、外国人が泡風呂へ優雅に入っているシーンをテレビで見かける事が割と頻繁にありました。
子供ながらに、ゴージャズな印象を持ったのでしょう。
真似したくなり、近所の友人とお風呂に中性洗剤(所謂バスマジックリン)を入れ、シャカシャカ手で掻きまわして泡をだしていました。ただ、洗剤から出る泡なんて、たかが知れています。その内、疲れて「もう、いいや」となったのでした。冷静に考えると、洗剤で泡風呂が出来るワケがないのです。( ´艸`)

つまらない話をしました。映画の話に戻ります。
主人公のフランクは、少年時代 自由奔放に男と遊び歩いていた母親から虐待を受けていた事が台詞から判りました。フランクは、女性を母親と思い込み、外出させない(閉じ込める)為に殺害をしていた様です。外出しないで、自分の傍に居て欲しいと言う心理は理解できなくもないのですが、頭皮を剥いでマネキンに被せてしまう心理は到底理解が及びませんでした。
(死体だと、いずれ腐敗してしまうので、マネキンは母親の代用だったのでしょうかね。)

<音楽について>
音楽を担当したのは、ジェイ・チャタウェイ。
「シルバーブリット/死霊の牙」(日曜洋画劇場タイトル)、「マニアック・コップ」(1・2作目)、「ブラドック:地獄のヒーロー3」「レッド・スコルピオン」等の音楽を担当した作曲家です。本作のオープニングクレジットで流れる、もの悲しいメインタイトルがとても印象的でした。
サントラ盤は、かなり前にCDが発売されました。冒頭の画像の通り、円盤型ではない不思議な形状をしたCDです。(山の様にサントラCDを買い集めましたが、変形型のCDを見たのは、後にも先にも本作品のCDだけです。)


これを車でCDにかけたら、バキバキに割れる事は必至ですね。(笑)

「マニアック」は、実際にも有り得そうな猟奇殺人を描いた作品で、監視カメラが普及されていない時代独特の空気感を味わう事が出来ます。
トム・サビーニの仕事が堪能できる場面が序盤と終盤に用意されていますので、そこは必見です。
イライジャ・ウッド主演で2012年にリメイク版が製作されていますので、また観る機会を設けたいと思います。

<余談>
「マニアック2001」と言う非常に似たパッケージのビデオがあります。
こちらは、全く関連性がなく、原題「VIOLENT SHIT」と言うドイツのゴア映画になります。暴力描写のオンパレードの作品で、今の若い人には喜ばれる 内容なのでしょうか。


VHSで集めたい方は、間違えない様に気を付けて下さい。(;'∀')