『維摩経入門』(大森曹玄)。
本書(本文196頁)は、「読書のすすめ」さんのお勧めの一冊としてあがっていた一冊で、販売冊数限定のもの。
著者の大森曹玄し老師は、母校・日本大学を終えていらっしゃる人物。
色んな経典で知っておきたいものがあるなかで、「維摩経」もその一つであり、新書の形態をとっていたので、さっそく落手したものです。
初版は1977年5月。
私が大学へ入学した年に出版された一冊でもあります。
まず、本書の構成をリストしておきたいと思います。
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1・維摩経の概観と理想世界(仏国品)
2・坐禅と出家(弟子品)
3・直心これ道場(菩薩品)
4・病を問う(問疾品)
5・解脱をさらに解脱する(不思議品)
6・ものを二つに見ない(入不二法門品)
7・菩薩の行とは何か(菩薩行品)
8・仏を見るとは自己を見ること(見阿閦仏品)
あとがき
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本書の中から気になった項目名や内容などをしばらく抜き書きし、ご紹介してきたいと思います。
今回は、7・「菩薩の行とは何か」から。
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「空とは何か」
仏教の原理として、理論として言えば、因縁の法には固定した実体がないということです。
因縁の法というのは、時間的にみれば存在するものはすべて原因と条件でできているということです。
お釈迦さんは、そういう世界観をもっているのですね。
非常に科学的です。
お釈迦さんはキリスト教のように造物主、造り主というものを認めないのです。
物にはその物のできるべき原因がある。
その原因が条件を縁として結果を生ずるという見方をいたします。
だから、無形の神さまとかが何かがいて作ったのではなく、原料と条件があって物ができるという、その点、お釈迦さまの考え方は非常に科学的ですね。
それも、条件が変化すればその物は解体して空になるというわけです。
従って、因縁によって形成されたものは固定的な実体があるものではなく、常に流動変化しているのです。
それを空というのです。
(P167・168)
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(2023・12・18読了)