逞磨のものは何もない。

髪の毛もへその緒も遺骨さえも。


唯一あるのはリストバンドと数枚の写真。



小さなクマのぬいぐるみを2つ買って(といっても私は動けず母に購入を頼んだ)

1つは棺に、もう1つは私の手元に残した。




そのクマのぬいぐるみを逞磨だと思ってアルバムと一緒に置いている。



逞磨を感じられるのはたったそれだけ。




先日久しぶりにアルバムを見た。数枚しかないからすっかり覚えてしまった写真。


眺めながら、涙がポロポロこぼれてきた。


なぜ泣くのだろう…



辛いことがあるわけではない。
いや、ないわけでもない。



なんか逞磨にすがるように、癒しを求めるように…

やっぱりこうしてあげれば良かった、ああしてあげれば良かった、と後悔が入り混じりながら。




泣いてすっきりしたかって?


何も変わらないし解決はしない。


けどなんか心なしか少しスッとした気がした。




きっと逞磨が弱い私に小さな力を分けてくれたんだろうな。