[4705]第65回「達也のランニングホームラン」

 

○目覚めるユニフォームの達也、冬服の南の膝枕。
(南の声)「起きた、タッちゃん?」
    上体を起す達也。
達 也「あれ、みんなは?」

○野球部部室
    人は南と達也だけで、整理整頓されている。南、スカートを叩いている。
  南「とっくに帰ったわよ。着替えるんでしょ?」
達 也「おう」
  南「じゃあ、外で待ってるからね」
    ドアに歩く南。ロッカーが開く音。南の足元に、首輪の大きさのわっか、落ちる。
    南、わっかに気付いて拾う。
  南「まだ持っててくれたんだ」
達 也「ああ、捨てられなくってな」
  南「枯れちまえばただのゴミだ、なんて言ってたのに」
    見つめあう南と達也。
    ×    ×    ×
    部室に入ってくる、体操着姿の南。
  南「日が暮れるの早くなったわね、もう外真っ暗よ」
(孝太郎の声)「そうだね」
    頭を掻く孝太郎。
孝太郎「いけね。ミット忘れてきちゃった」
    ドアの開閉音。
    南、落ちていた首輪の大きさを拾う。
  南「あらやだ。どこから出てきたの?」
達 也「何だよそりゃ」
  南「ん? 南がカッちゃんにあげたの。甲子園地区予選一回戦を勝った帰り道、川原で花を集めて。勝利投手賞」
    南、達也に目を向ける。
  南「綺麗だったのよ、とっても」
達 也「枯れちまえば、ただのゴミだ」
    目を見開く南。
    南、俯く。
  南「…そうね」
    達也、枯れた花輪を南から取る。
    達也、ロッカーを閉める。
達 也「俺のロッカー、ゴミ箱も兼ねてるから」
    ×    ×    ×

 

[4464]『タッチ1』 、リンクリスト

 

[4459]文章による「タッチ」(小説・脚本・超速、評論・分析)

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