[4371]『タッチ3』 21「達也と西村、それぞれの危惧」

 上が赤宮、下が明青の、二回表まで0のバックスクリーンのスコアボード。
 スタンド。左に由加、右に佐々木、座っている。
由加「三枚看板?」
 マウンド上、振りかぶって投げる赤宮のピッチャー。
(佐々木の声)「はい、今投げているのが左腕の角田」
 一塁側のベンチ。赤宮の監督やコーチ、控え選手が座っている。
(佐々木の声)「他に下手投げの岸、右投げの八木で」
 スタンド。座っている由加と佐々木。佐々木、ノートに目を落としている。
佐々木「通称三枚看板。そしてエラーはこの予選、一つもないです」
 打球音。
 赤宮のファースト、ゴロをダッシュで捕球し、すぐに一塁に送球。
(塁審の声)「アウト!スリーアウト、チェンジ!」
 スタンドの由加と佐々木。
由加「守りのチームか」
佐々木「はい」
 マウンドに上る達也。
 由加、目を画面左上に目を向ける。
 グラウンドを見ている南、見入っている。
 振りかぶって投げる、真剣な表情の達也。
(主審の声)「ストライク!」
(里子の声)「力んでない? 今日の上杉くん」
 スタンドで観戦しているマネージャー二人と住友里子。
マネージャーA「里子ちゃんもそう思う?」
里子「力んだステージは、アイドルとして失格」
 達也、振りかぶって投げる。
 打球音。
 レフトポールに打球、当たる。
 歓声のスタンド。
 スタンドの里子。
里子「出会い頭の一発ね」
(原田の声)「ストレート一本槍の真っ向勝負だからな」
 スタンドで座っている、南と原田。
原田「だが駆け引きや変化球を覚えたら上杉達也じゃなくなっちまう」
 スタンドで座っているマネージャー二人と住友里子。
里子「野球を本格的に始めて二年弱」
 レフトポールを見ている達也、キャッチャーに向き直る。
(里子の声)「しかも死んだ弟が夢見た甲子園」
 スタンドで見ている南。
(里子の声)「しかも彼女も応援してる」
 達也、振りかぶって投げる。
(里子の声)「力むまで全力投球は当然」
 キャッチャーの孝太郎、ど真ん中で捕球。
主審「ストライク、バッターアウト!」
 スタンドのマネージャー二人と住友里子。
マネージャーB「よ、名探偵里子ちゃん」
 里子、笑み。
里子「私と同じと思えばね」
 三塁側のベンチに歩く、孝太郎と達也。
達也「球は走ってるか?」
孝太郎「絶好調だよ!」
 三回表に1が入っている、バックスクリーンのスコアボード。
(達也の声)「よし!」

 

[4374]『タッチ3』 23「三枚看板ということは・その1」

 

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