[4355]『タッチ3』 20「浅倉南をめぐる感情」
 

 三塁側のファウルグラウンドで投球練習しているバッテリーを、スタンドの南、見ている。
 三塁側で孝太郎を座らせ、達也、投球練習。
 捕球している、しかめっ面の笑顔の孝太郎。
(達也の声)「孝太郎、球は走ってるか?」
 孝太郎、一塁側のベンチを指差す。
 一塁側のベンチに顔を向ける、達也。
 呆然としている、対戦相手の赤宮のナインたち。
 孝太郎に達也、食ってかかる。
達也「お前に訊いてんだよ!」
孝太郎「文句なし」
 自信の笑みの孝太郎。
孝太郎「絶好調だよ」
 微笑んでいるスタンドの南。
(達也の声)「よし!」
 上が赤宮、下が明青のバックスクリーンのスコアボード。
(主審の声)「選手整列!」
 カメラ右回りし、遠くに整列している両校ナイン。
(両校ナインの声)「オース!」
 右向きの赤宮ナイン、帽子を被り直して一塁側のベンチに引き返す。
 達也が残っている整列している明青ナイン。お辞儀から上体を起こして帽子を被り直し、マウンドに身体を向けて歩き出す。
 スタンドのマネージャー二人と住友里子。
里子「残酷ね」
 マネージャー二人、スタンドから里子に顔を向ける。
 観戦している里子。
里子「高校野球は」
(主審の声)「プレーボール!」
 サイレンの音。
 マウンド上の達也、振りかぶって投げる直前。サイレンの音、続いている。
 球場、外観。
 ボールがミットに収まる音。
 ユニフォーム姿の西村、グラブにボールを納める。
西村「次、カーブだ!」
 振りかぶって投げる西村。
 振り切って当てる勢南のバッター。
勢南のバッター「甘い!」
 西村、投げ終わった直後の姿勢から、直立の姿勢に直し、左手のグラブを胸の脇に。
西村「バーカ、わざと甘く入れたんだるもう一球行くぞ!」
 勢南の練習を新田、フェンス越しに見る。