[4366]『タッチ2』 36「俺に投げさせてみろよ」
 

「勢南高校」、校門前。
 校門から西村の乗った自転車、出てくる。
 車道を西村の乗った自転車、左向きに走る。
西村「新田の野郎」
 フェンス越しの観客。
 黒板に書かれた、上が須見工、下が明青のスコアボード、二回表裏まで0対0。
 三塁側のベンチ、左の新田、腕を組んで立ち、右の監督、ウインドブレーカーを着て座っている。
 マウンド上の吉田、左向きで投げる。
 カーブの球筋。
 須見工のバッター、鈍い音でボールを当てる。
 吉田、一塁側に移動してグラブで捕球し、すぐに右手に持ち換えて一塁に送球。
 ボールがミットに収まる音。
(塁審の声)「アウト!」
 吉田、送球を受け取り、マウンドに歩く。
(南の声)「なかなかやりますね吉田くん」
 吉田、マウンドを踏む。
(南の声)「初めてのマウンドなのに」
(西尾の声)「なかなか?」
 三塁側のベンチ、須見工の監督以下、ナイン一同。
(西尾の声)「相手は甲子園準優勝の須見工だぞ」
 空振りする須見工のバッター。
(西尾の声)「大変なもんだよ」
 一塁側のベンチ、左にグラウンドを見ている南、右に南を見ている西尾。
南「でも初顔は一巡目、投手が有利だから。まして変化球投手」
 カーブの球筋。
 見送る明青のバッター。
主審「ボール!」
 自信顔の須見工のバッター。
 気負った表情のマウンド上の吉田。
 左奥に、投げる吉田の後ろ姿。右手前に、腰を落としている達也。
 真剣な表情の達也、走り出す。
 一塁側のベンチ、グラウンドを見ている南。
南「甘い!」
 打球音。
 小走りの達也、グラブを頭上に差し出して捕球。
 喜んでいる吉田。
吉田「おー!」
 達也、ボールを弄んだ後、振りかぶって投げる。
 黒地に低い放物線の軌跡。
 吉田、上げたグラブに収まった送球の勢いで、後方に倒れる。
 三塁側のベンチ、笑顔の新田。
(南の声)「監督、見ました?」
 一塁側のベンチ、左の南、右の西尾に顔を向けている。
西尾「無駄なデモンストレーションだ」
 ちょっと怖い西尾の表情。
西尾「この試合、勝つための野球に徹してやる」
 一塁側のベンチ、並んでいる新田と監督。
 焦った表情で吉田、達也を見る。
 帽子を目深に被り、目を見せない達也。
 車道を左に走る、西村の自転車。

西尾「新田の野郎」

 

[4368]『タッチ2』 38「四回表の吉田 対 新田」
 

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