毎週木曜日、「みんなの学び場美術館」担当の
「彫刻工房くさか」日下育子です。
本日は素敵な作家をご紹介いたします。
画家の 白川美紀さんです。

白川美紀さん
前回の岡沢幸さんからのご紹介です。
第1回 ⇒ http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11323780164.//ameblo.jp/mnbb-art/entry-11323780164.html
第2回 ⇒ http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11329521097.html
第3回 ⇒ http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11329602523.html
第4回 ⇒ http://ameblo. http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11329521097.html
白川美紀さん
第1回⇒http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11345589993.html
第2回⇒ http://ameblo.jp/mnbb-art/entry-11351978634.html
白川美紀さんの社会との接点についての想いをお聴かせ頂きます。
お楽しみ頂けましたら、とても嬉しいです。
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ふしぎな出会い
58.5×91cm
2002

こどもたち
10.5×20.5cm
2002
雨を待つ
22.7×15.8cm
2006
日下
改めてお聴きしますが、白川美紀さんの制作テーマについてお聴かせ頂けますでしょうか。
『思春期の頃の心モヤモヤを吐き出す、同じものを見ても人によって感じ方、考えかたが違う。
そのズレをかたちにする。日常の身の回りのものを見ているとイメージが湧いてくる。』
ということを仰っていましたが。
白川美紀さん
思春期に自分の居場所がない と行き詰まった事がありました。
その時、知人に絵を描く事を勧められて、作品を描いたり、人に見てもらったりすることで、
自分の居場所を見つける事が出来ました。
さらに、2年前に出産した事で、社会の中での自分の立ち位置や今後どうあるべきかを、
より強く意識しています。
子供を育てるには、もっと美術で社会の中に入って行かないといけないなと思うんです。
もう、10代の自己満足に近い絵ではなく、本当に社会に必要とされる、
欲しいと言ってもらえるものに、洗練させていきたいなあ~と常々思います。
そのへんは、子どもが生まれたことで昔よりもハードルが高くなったかもしれません。
長く制作を続けていると、技術の向上ばかり目が向いてしまうのですが、画面を完璧に
仕上げることより、もっと大事なことがあるんじゃないかと出産後に考える様になりました。
画面の塗りや仕上げも大切なんですが、もう少しそれから離れて、もっと社会の中では
どういう立ち位置なんだろうとか、、。今、絵を描く意味とか、、、。
もっと人に共感してもらうには、どうしたらいいかとか。
裏庭へどうぞ
15.8×22.7cm
2007
なまずの安息日
24×24cm
2008
雨の午後
15.8×22.7㎝(SM)
2009
日下
私も、自分の作品が社会性とか、自分自身が社会性を話題にしていますが、
私自身は若い時に彫刻シンポジウムなどに参加していました。
そういうところに参加すると、よく海外の作家に『おまえは何者なんだ』ということを
結構問われることが多かったのです。
けれども自分のことって、自分だけ掘り下げても見えてこないですよね。
そういうところでは、よくいい意味でも悪い意味でも『日本人は平和ボケしている』という言葉を
使われていました。
私自身は普通の人なので、そう突き詰めて『おまえは何者なんだ』ということを問われると、
とても辛くなってしまうというか、自分を探して、探して、自分探しにはまっていくようなところが
ありました。
それは、相対的な人とのかかわりの中で見えて来たりします。
そういうことを私はそっくりそのまま、植物の種子をモチーフにして制作してきたのです。
種子というのは、芽を出す場所を求めて時空間を旅しているものであり、人間とは違う生命体です。
ですが、とてもそこに感情移入するものがあり、そこに自分を重ね合わせて、
自分もいつかリアリティーを持てる自分になるんだ、と思い続けてきました。
その事が、ずーっと制作の中で種子をモチ―フとして扱い続けてきたということだったのです。
それで、種子をモチーフに制作をする自分が、
現実に作家として芽を出すかどうかということがダブルミーニングな感じで考えていました。
白川美紀さんの作品を拝見した時、絵を始められたエピソードを拝読し、作品も拝見した時、
とても繊細な思春期を過されていて、不登校を経験されたということが書いてありました。
そういうことが書いてあると辛い体験ををイメージしますが、そういうことはご自身にとって
どんな経験だったのでしょうか。
白川美紀さん
誰しも思春期を通過するものだし、それぞれに葛藤もあると思うんです。
でも、いろんなインタビューで訊ねられるので、逆にビックリします(笑)
そのときの経験が今の自分につながるので、沢山ある青春の思い出の一つ、ですね。
飾り棚 B
45.5×53cm
2005
オーキッド夫妻
30.5×26cm
2004
二人の時間 A
33.5×24cm
2005
日下
そう、そうそう。白川美紀さんの作品を拝見すると、
白川さんご自身が生活の中で見つけたものを描いていらっしゃいますよね。
それが他の人の生活空間に入った時のことをイメージすると、そんなに大きい変化を
もたらすものではないかもしれないけれど、何かちょっと生活の意識を異化するというか、
そいう面白さをもたらしてくれるんじゃないかと思います。
白川美紀さん
はい。同じ出来事が起きても、人の個性によったり、時間がたつことで、受け止め方がガラッと
変わりますよね。
ものすごい悲劇は、逆に、これ以上ないくらいの喜劇になるというか。
それがとても面白いなと思います。ちょっとした毒も、効きようによっては薬になるし。
そのズレが、とても興味深いんです。そういうおかしみというか、ちょっぴり毒の効いた
ユーモアを一緒に分かちあいたいというか。
いろんな出来事が、急に軽やかになる瞬間を捉えたいと思います。
私の作品を見た方が、“実際にはありえないかもしれないけど、でも、でも、こういう事もあるよね、、、”
って共感してもらえたら ものすごく嬉しいです。
青い鳥
40.5×25.5cm
2003
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白川美紀さんとは、前回の岡沢幸さんのご紹介で、インタビューをさせて頂きました。
仙台七夕3日目の駅地下レストランでランチを頂きながらのインタビューでした。
繊細で、感性鋭く、日常のモノ、風景をじっと見入ってしまうような
絵の中に引き込まれるような、素晴らしい作品にしていらっしゃり、
デッサン力など描画の技術と感性が秀逸だと感じました。
ご自身も2歳になるお子さんの子育てをしながら、制作活動をされているということで、
私も昨年出産した者として、とても共感を覚えました。
皆さんもぜひ白川美紀さんの作品をご覧になってみてはいかがでしょうか。
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◆白川美紀さんの展覧会予定
◇展覧会名 ~りらく大人の文化祭~「 F NALE(エフナーレ)みんなのアート展」
日時 2012年9月27日(木)~10月2日(火)10時~19時
会場 藤崎百貨店 一番町館5F 仙台市青葉区一番町3-2-17
⇒http://www.fujisaki.co.jp
展示全体の会期は、9月20日(木)~10月9日(火)
*詳細は、白川さんのHP⇒http://www.miki-s.com/でご確認ください。
◇展覧会名 青葉アートスクール展
日時 2012年9月21日(金)~26日(水)10時~19時 (最終日は~16時)
会場 せんだいメディアテーク 仙台市青葉区春日町2-1
⇒http://www.smt.city.sendai.jp
◆白川美紀さんのホームぺ―ジ⇒http://www.miki-s.com/
◆白川美紀さんのインタビュー記事が掲載された雑誌
「大人の情報誌 りらく」 2012年6月号
⇒http://www.riraku-sendai.co.jp/